【病名は】 ページ4
(なんかクラクラする……)
Aが体調の異変に気付いたのは朝からだった。体温計で測った際は36.9と少し高めの温度。そして喉の奥にへばりつくような感覚。薬も飲みマスクもしているから大丈夫だろう、そんな軽い気持ちがダメだったようだ。
(結構しんどい……)
壁に手をつきながらよろよろと歩く。球場の外から差す太陽の光が追い討ちをかけるようにジリジリとAを照らしていた。体調不良の際に日光浴は良いとも聞くが、いくらなんでも浴び過ぎたのだろう。段々頭痛も酷くなってきたその時、Aの頭上から誰かの声が降り注いだ。
？「Aさん……？」
「ぁ………ろーたん？」
佐々木「Aさん……大丈夫ですか…？」
グローブ片手に息を切らした佐々木が心配そうにAを見つめていた。安心からか体勢を崩しかけたAの腹に手を回し、慌てて起こす。
佐々木「ちょ、本当に大丈夫ですか？」
宮城「Aさん！あと朗希…いやろーたん！」
佐々木「名前にこだわらなくていいから。Aさん体調悪そうだから、ちょっと休ませてあげたほうがいいかも…」
宮城「えっ！？」
佐々木の言葉に宮城はAの額に手をあてる。予想以上に熱く驚いた宮城は、そのまま持っていたペットボトルを額にあてさせた。
「……冷たいけど、気持ちいい……」
宮城「……一旦医務室に連れてったほうがいいよね？」
佐々木「それはそう。ごめんコレ持ってて」
宮城「え」
佐々木は付けていたグローブを宮城に押し付けると、Aをあまり刺激しないようにゆっくりと膝裏に手を運んだ。若干の浮遊感を覚えAは顔を上げる。
佐々木「Aさん、俺の首に手回してください」
「ろーたん…大丈夫だから、」
佐々木「どこが大丈夫なんですか。これ以上ごねるんでしたら颯一郎さん呼んできますよ」
「……お願いします」
宮城「………てかAさんいつの間にろーたん呼びしてるの？」
佐々木「オールスターの時から」
宮城「こっちはAさんに宮城君って呼ばれてるのに先にあだ名で呼ばれるの狡い」
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