その笑顔に救われた【桃】 (ページ7)

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『…何を？』

「…Aちゃんを」

『…え？』

「Aちゃんを俺にちょうだい？」

『なん…で？』

「なんでって？」

『…だって、会ったばっかりだし…いなくなろうとしてたのに…。それに、私さっくんのファンだよ？』

「…やっぱりそうだったんだね」

さっくんは私に向き直って私の手を取って

真剣な表情で話し始めた。

「俺のファンだからとか、同情とかじゃなくて。まだ少ししか話してないけど…俺、Aちゃんとこれから先ずっと一緒にいたいって思ったんだ。そんなこと思うなんてなかなかないだろうし。これがよく言うビビッとくるって事なのかなって」

『…』

「…だから俺にAちゃんの一生をちょうだい？」

『一生って…』

「一生って言ったら、俺の前からいなくなろうとしないでしょ？」

『…』

「だから…もう何もいらないなんて言わないで。俺の前からいなくならないで…」

ね？と顔を覗かれる。

色々入り混じってどんな感情かわからないけれど

自然と涙が出てきた。

「え！ごめん！嫌だった！？」

私は首を横に振る。

『嬉しい…』

「はぁ―…よかったー…！」

本気で嬉しいのが伝わってきて

思わず笑ってしまった。

「…うん、やっぱり笑ってた方がいいよ」

『…ありがとう』

繋いでいない方の手で涙を親指で払ってくれて

そのまま頬に置かれた。

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