29.ab ページ29
夕食は要らないとお母さんに告げ、そのまま自分の部屋に閉じこもった。
お母さんに悲しそうな顔をさせてしまったのは申し訳無かったけれど、とても固形物が喉を通るとは思えないんだ。
蓮も心配そうにこちらを見ていたけれど、それも無視してしまった。
最近の私は蓮に頼り過ぎだ。
弟に頼るだなんて、自分はなんて情けないんだろう。
こんな奴だから失恋したんだ。
家族に迷惑ばかりかけるから神様に見限られたんだ。
自らを責め立てる言葉が次々と頭の中に浮かんでは蓄積していく。
もう何も考えたくない。
苦しい。
なのにこんな時に限って涙は出てきてくれないもので。
さっきは泣けたのに。
公園では普通に泣けたのに。
やっぱり家だと家族にバレるのが怖くて、恥ずかしがり屋な涙達は頑なに外に出ることを拒否するんだ。
ベッドに腰かけて、ただぼーっと壁を見つめていることしかできない。
....あぁ、北美達に何て言おう。
どうせどんな言い方をしても、からかわれて終わりなんだろうな。
憂鬱だ。
もしかしたら翔くんのクリアファイル、渡してもらえないかもな。
そうなったら最悪だ、それだけはなんとか回収したい....。
壁にはられたポスターに視線を移すと、私の大好きな人がいつもと同じ笑顔で微笑んでいて。
「助けて、翔くん....」
なんて呟いてみても、彼は表情を崩さずにこちらを見つめるだけ。
何度目かわからない溜め息が空気に飲まれて消えた、その時だった。
『お姉ちゃん、ちょっといいかな。』
ドアに近い左耳が、ノックと共に我が妹の声を感知した。
「....鍵、閉めてないよ。」
私の言葉を肯定と受け取ったラウ子が、遠慮無しにドアを開ける。
常夜灯のままにしておいたのに、いきなり全灯を点けられて目が痛い。
「お姉ちゃん、相手の人にちゃんと告白したの？」
「....できなかった。恋人がいるんだって、だから諦めた。」
「恋人がいるからって諦めるの？」
「当たり前でしょ。」
「なんでよ、その人から奪い取るくらいの心意気でぶつかればいいのに。」
「そんなこと、できるわけない。」
「できるよ。恋人より自分のことを好きにさせればいいの。心変わりさせちゃえばいいんだ。」
「京子さん、すごく良い人だったし。可愛くて、ちょっと不思議だけど素敵な人だったから。」
「だから何？お姉ちゃんも負けないくらい可愛くなればいいじゃん。素敵になればいいじゃん。」
「....無理だよ。」
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まなお(プロフ) - れいんさん» ありがとうございます！私も読ませて頂こうと思います。素能家、いいですよね！教えていただきありがとうございました！ (2020年6月4日 13時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - 作品名は「家族ですの。」、作者様は「ミントアップルティー」さんです。 (2020年6月4日 11時) (レス) id: ae247e4732 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - れいんさん» 私も読んでみたいので、よろしければ作品タイトルや作者様のお名前を教えて頂けませんか？ (2020年6月3日 22時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - れいんさん» そうなんですね、ご報告ありがとうございます！私と同じような趣味の方がいらっしゃるということですね、仲間が増えたみたいで嬉しいです！！仮に真似だとしても、こんな駄作を参考にしていただけたということで、認められたみたいで幸せです！ (2020年6月3日 22時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - 私はmmabの小説を読み漁っているのですが、このお話によく似た作品を見つけました。類似している作品の方が後に作成されていたので、真似ていたとしたらもう一つの方かなと思います。作者様があまり気にしていないなら大丈夫なのですが…一応報告させていただきました。 (2020年6月3日 20時) (レス) id: ae247e4732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年1月18日 1時
