26.ab ページ26
ボウリングの結果は散々だった。
やったことが無いわけではなかったけれど、元々運動はあまり得意じゃない。
何度も泣きそうになって、だけど場の空気を壊さないように笑っていたつもりだ。
正直、上手くできていたかどうかはわからない。
十八時になったので先に帰りたいと伝えると、みんな快く手を振ってくれた。
『また遊ぼうな』『次は俺が投げ方教えてやるよ』『亮子ちゃんが来てくれて嬉しかった』なんて。
私の存在に一番嬉しそうにしてくれていたのが京子さんだったから、すごく複雑だし心が痛かった。
私、あなたの恋人のことが好きなんだよ。
あなたの恋人とデートしちゃったんだよ。
何度もそう叫びそうになって、感情の制御が大変だった。
代わりに『今日は田中くんのこと取っちゃってごめんなさい』と伝えてみた。
申し訳なく思っていたのは本心だったし、田中くんと肩を並べて現れた私に好意的に接してくれている理由がわからなかったんだ。
『あはは、いつものことだから平気だよ。』
京子さんは何でもないように笑って応えた。
『いつもこうなの？他の女の子と遊んだりするの、田中くん。嫌じゃないの？』
『え？うーん....まぁ、最初は嫌だったかなぁ。だけど樹って友達多いじゃない？だからもう慣れちゃったよ。女の子の友達作るな、なんて言うつもりは無いしね。それに、樹は絶対に浮気とかしないもん。そこはちゃんと信用してるからさ。』
『そっか....ごめんね、変なこと聞いて。』
京子さんとの会話をぼんやりと頭の中でリピートしながら、ゆっくりと歩く。
どこに向かっているかなんてわからないけれど、とにかく足は止めずに。
時間はもうとっくに十八時半を過ぎていて、今から走ったって門限には間に合わない。
あー....お父さんやお母さんとの約束、破っちゃったな。
今まで門限までに帰らなくてめちゃくちゃに叱られている翔太達の姿を見てきている。
毎回『バカだな、時間までに帰ればそれで済む話なのにな』なんて心の中で笑っていたけれど。
....私も同じように怒鳴られるのだろうか。
怖いから、余計に帰れない。
もう日はほとんど沈んでいて、街灯だけが足元を照らしてくれる。
ふと顔を上げると、そこは見慣れた公園で。
小さい頃からお世話になっているから、多少暗くても迷わず歩ける。
五年ぶりくらいにブランコに座って、軽く揺れてみた。
童心に帰れるかと思ったが、そう上手くはいかないみたいだ。
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まなお(プロフ) - れいんさん» ありがとうございます！私も読ませて頂こうと思います。素能家、いいですよね！教えていただきありがとうございました！ (2020年6月4日 13時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - 作品名は「家族ですの。」、作者様は「ミントアップルティー」さんです。 (2020年6月4日 11時) (レス) id: ae247e4732 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - れいんさん» 私も読んでみたいので、よろしければ作品タイトルや作者様のお名前を教えて頂けませんか？ (2020年6月3日 22時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - れいんさん» そうなんですね、ご報告ありがとうございます！私と同じような趣味の方がいらっしゃるということですね、仲間が増えたみたいで嬉しいです！！仮に真似だとしても、こんな駄作を参考にしていただけたということで、認められたみたいで幸せです！ (2020年6月3日 22時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - 私はmmabの小説を読み漁っているのですが、このお話によく似た作品を見つけました。類似している作品の方が後に作成されていたので、真似ていたとしたらもう一つの方かなと思います。作者様があまり気にしていないなら大丈夫なのですが…一応報告させていただきました。 (2020年6月3日 20時) (レス) id: ae247e4732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年1月18日 1時
