幹部のトリコ【中原中也】 (ページ10)

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９話ページ10

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今日の朝から私はずっとベッドの脇に座ったままだった。

食事のあともすることが無くて外に出てみようと思ったら外側から鍵がかけられてる始末

窓も開けられなくて、トイレもお風呂も全部この一室に備え付けられていてまるで鳥籠…いや牢獄のようなものだった。

もうこれは軽く、逃がさない域を超えているだろう。

棚にあった本はすべて読み尽くして、詩集を暗唱出来るまでにもなった。

『どうしてここまでするの…？』

逃げたってもう帰る場所なんてないのに…。

流石に私でもそんな無能なことはしない。

ため息をついてベッドに寝そべった。
ふかふかなベッドに私は沈んでいく感覚を覚え不快そうに口を曲げた。

カチャリ＿＿＿＿＿＿＿。

『…ぇ？』

不意に鍵が空いたような音がして、情けない声を上げ立ち上がった。

奥の部屋に施錠しているドアはただ一つ、廊下へと繋がるドアしかなかった。

中原さん？相塚さん？

中原さんなら先刻、仕事に行ったばかりだから相塚さんだ。きっと

カチャリ、と音はしたものの一向に入ってくる気配がないため自ら起き上がり夜着のままだがドアに向かった。

ドアノブの前で立ち止まり、目を閉じて深呼吸をすれば決心がつき思いっきりドアノブを回した。

うそ、…本当に開いてる…！？

開ける寸前で立ち止まり、驚きを隠せない私は先程の言葉を思い出した。

前言撤回。

＿＿＿＿＿逃げ出そう。

再び強く握り思いっきりドアを開けた。

目の前に映ったのは

＿＿＿＿＿＿＿黒一色。

「随分と、お転婆なお嬢さんだねぇ。」

え…誰？

勢いをつけすぎた私は止まれるはずがなく、そのまま男の人に抱きつく形となってしまった。

慌てて離れようとしたが男の人の手が私の背中に回っていたため無駄だった。

「離してくださいｯ！、

一体、あなたは何者なんですか！」

そういうと、「嗚呼、自己紹介遅れたね。」と言って私を優しく話し片方が包帯で隠れている冷たい瞳を私に向けて言い放った。

太宰。太宰治さ

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