幹部のトリコ【中原中也】 (ページ7)

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６話ページ7

・no-saido

仕事帰りの中原が帰宅し奥の部屋から部下の相塚が急いでやってきた。

「お帰りなさいませ、中原様。

＿＿＿＿お仕事お疲れ様でした。」

素早く外套を受け取り畳むと、中原はくらい顔でコップに水を注ぎ飲み干した。

「A様は変わった様子もなく出した食事も完食しておりました。」

「そうか、やっぱ手前ェに頼んでおいて正解だったな。

助かった、もう帰っていいぞ。」

お役に立てたようで嬉しいです。とあの無表情な顔からは考えられないほどの柔らかい笑み創り出された。

相塚が帰ったあと、中原はその足で自分の寝室の隣であるAの部屋に向かった。

この時間帯だ、寝ているはずだ。

ノックもせずに入ると、本を読んでいたAはこちらを見た瞬間、顔を強ばらせキッと睨んでいた。

出会った頃は大人しく、か弱い奴だとは思っていたが今は憎しみの目でこちらを睨んでいる。

「まだ寝てねェのかよ。」

『生憎、この時間帯だとだいたい本を読んでいます。』

あっそ、と短く中原が返せば「なんの御用で？」とAが素っ気なく投げかけた。

「ただ手前ェの顔を見に来ただけだ。」

中原は思ったことを口にしたが、それがAにとっては意外な一言であったのか「なｯ…。」と返す言葉も出なかった。

あっけらかんなAをよそに中原は昨日掴んだAの腕をまた掴み袖をめくった。

じっと見つめる先にはほんのり赤い線が付いていて昨日中原が暴れるAを強く押さえつけた跡だった。

「赤いな。」

『ｯ、痛…い。』

スッと触ったが本人には痛く感じたのかAは顔を顰めて離れることを懇願した。

中原はその願いさえも聞かず今度は優しく腕に接吻を落とした。

ちゅっ、と可愛らしい音が重なり跡を優しく撫でるように接吻する中原と顔を真っ赤にしてこそばゆいのを我慢しているふたりの影をランプがともした。

「手前ェはこのぐらいで気持ちいいのかよ。」

『違う、こそばゆいだけ…。』

ニヤニヤと余裕を見せる中原に対し必死に反抗するが接吻の嵐は止められず、結局は中原が満足するまでAはずっと必死に我慢をしていた。