幹部のトリコ【中原 中也】

１７話 ページ18

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チュッ、と可愛らしい音が響けば私の脳はその音に麻痺した。


ぎゅっと強く目を閉じたままの私に、中原さんのため息が降り掛かった。



「太宰の匂いが邪魔くせェ、チッ…切り刻んどけばよかった…。」



そう言って中原さんわ私の首に顔をうずめしばらくそのままだった。

立ちっぱなしで、しかも中原さんがもたれ掛かっている状態なため足がぷるぷると震え限界を迎えていた。



『中原さん…もう…無理…。』



「体力ねェな。


まぁ、俺がここに閉じ込めてんだから当たり前か…。」




ヒョイ、と軽々しく抱き上げられソファに乱暴に押し倒され中原さんの目は獲物を捉えるような鋭い瞳だった。

不覚にも胸が高鳴り顔を逸らすと、逃がさまいと接吻され身動きが取れなくなった




やっと唇が離れると、顔をまじまじ見られとたん中原さんの顔は悲しそうに見えた。




私は何か中原さんを困らせることをしただろうか…。




『…あ、』



「あ゛？」






『あの、…中原さん…一つ言い忘れていたことがあります。



＿＿＿私、太宰さんと接吻してませんよ…。』





そういうと、案の定中原さんは口をポカンとさせ「は？」と連呼した。



「ｯ糞、太宰の野郎め…！切り刻むだけじゃなく圧死させてやる…！」




怒っているようにも見えるがどこか中原さんの顔は安心しているようにも見えた。


自惚れているのかもしれない。それでもいい




中原さんの表情が面白くてクスクスと笑ってしまった。

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