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13話 ページ14





顔は近づき、鼻と鼻がぶつかる距離まで太宰さんの顔は近かった。


胸板を押したが抵抗は虚しく叶わなかった。



『太宰さんッ、近い…!』




「黙って、暴れないでおくれ


_____本当に接吻してしまうよ。」





唇を人差し指でなぞられ、「んぅッ…!?」と変な声を出してしまったが本当に接吻されそうで身動きが取れずただ、目を瞑るだけだった。






「おい、ヤメロ…太宰。」









太宰さんの背後から低く冷たい声が聞こえ目を瞑っていた私は大きくぱっちりと開き、背中に悪寒が走った。




「おや、殺してくれるのかい? 中也…。」


「嗚呼、Aを離さなかったら手前ェの大っ嫌いな俺が殺してやるよ。」




太宰さんの細い首に鋭く少し大きなナイフが突き立てられ、息を飲んでしまった。


ピリッと肌に痛いほどの緊張感が漂い考えること脳は停止した。







「ふふっ、冗談だよ中也。



君に殺されるのはゴメンだ。」




私を中原さんの方へ突き返し、私は勢いに乗り中也さんの胸元にダイブしてしまった。

中原さんは私の後頭部を抑え逃げぬようにとしっかりと抑えているようだった。





無言のまま車に載せられ私はバツが悪そうに下を向いた。







「…言え。」





『は?』






「だから言え…、


手前ェはなんで逃げ出したんだよ。」





ぐらりと私の胸元に倒れ込み腰に手が回っていた。





『ッ…、鍵が開いたような音がして…ドアノブに手を掛けたら本当に開いていたから…。


開けたら太宰さんがいて…。』





「ッ…、糞!」


ちゅっ、と音がして視界が暗くなった。


唇に重なっているものが想像でき、頭が追いつかず混乱した。




『やめ…てッ…!』




ポロポロと涙を流すと中原さんはびっくりして私から離れた。




怖かった、この感覚が。





この感情が。






『…怖い…。』







その一言で彼の瞳は



変わった。






中原さんは何も言わずただ窓の外を眺めていた。







今日の夕暮れは




酷く赤くて





酷く醜かった。

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猫桜 - 更新、待ってます! (2018年7月26日 10時) (レス) id: e6d0a47f92 (このIDを非表示/違反報告)
誘宵(プロフ) - つづきが気になります!頑張ってください(>_<) (2018年2月13日 0時) (レス) id: 5537d07d79 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが気になって仕方がないです!更新頑張って下さい! (2017年11月27日 22時) (レス) id: 7d7c78c9aa (このIDを非表示/違反報告)
夜蜜姫(プロフ) - 更新して欲しいです。お願いします。 (2017年9月27日 17時) (レス) id: e230e4a314 (このIDを非表示/違反報告)
ももニャン(プロフ) - 初恋抹茶さん» 更新待ってます! (2017年8月23日 2時) (レス) id: 122e18d340 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:初恋抹茶 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年5月19日 21時

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