No.53 ページ4
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いつもの昼休みの屋上。今日も轟くんが買ってきてくれたパンを食べながら(お金はちゃんと払ってる)私は八百万との出来事を話していた。
「そんなことがあったのか」
『うん、でももう大丈夫。ちゃんと話せたし、今度は仲良く出来る…気がする』
「まぁ、一歩前進出来て良かったじゃねぇか」
『轟くんのおかげだよ』
目を逸らしてそう言うと、轟くんは不思議そうに首を傾げる。きっと何故自分のおかげなのか理解出来ていないんだろう。
『いいよ、分かんなくて。……あのさ、轟くんにお願いがあるんだけど』
「なんだ?」
『その、お昼ご飯ね?他の人とも食べてみたいなーと言うか』
「他の人……」
元々、あまり顔に出ない轟くんだけれど、私のお願いに顔を暗くしているだなんて全く気づかずに、私は話を続けた。
『ほら、緑谷とか八百万とか…。まずは身近な人から始めて、最終目標は食堂で食べる』
「食堂?そんなハードル高くていいのか?」
『うん、怖いけど、でも轟くんって確か蕎麦が好きでしょ?しかもそれって食堂でしか食べられないじゃん。
だから轟くんがまた蕎麦を食べれるように頑張るの』
「でも一人は難しいから轟くんに隣に居て欲しい」と頼んでみると、轟くんは驚いた顔をしながら胸を突然握り始める。
『轟くん?』
「心臓が、いてぇ…」
『え、大丈夫!?救急車呼ぶ!?』
「いや、そんなんじゃねぇ…。とりあえずそれなら俺も協力する。明日からでいいか?」
『あ、うん!お願い』
胸が痛いという轟くんが心配だけれど、何とか私の挑戦が実現しそうだから密かに意気込んだのだった。
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作者名:空涼 | 作成日時:2019年7月12日 14時