No.39 ページ39
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「でもこんなにも綺麗な女性なら納得だ。
だって、パーティーなんかに参加してたら、皆から媚を売られまくって大変だったろうからね」
でも、もう大丈夫。そう呟いた神崎は私の腰を掴んで自身へと引き寄せる。しかし完全に身体が強張って動かない私はそれに反抗する力もない。
代わりに彼の過去が視えてきたわけだが、それは恥ずかしいものなんか一切なく、自信に満ち溢れ、常に立場が上位である人間の人生だった。
きっと彼にも私と同じモノが視えているはずだけれど、普通の人なら恐れるところをこの男は更に気分を良くしている。
「ふふ、君といると何故だか自信が湧いてくるよ。そうだ！初めてのパーティーは不安だろう？俺がエスコートしてあげる」
『…いや、大丈夫です……』
「遠慮しないで。ほら、まずはリラックスしようか」
リラックス、それは全身に鳥肌がたつくらい気持ちが悪いものだった。
何故なら神崎の生ぬるい手は私の背中を這いずりまわり、個性で視えたのは神崎が女性に如何わしいことをしているシーン。
あぁ、この人はこうやって落としていくのか。なんて卑劣で卑怯なのだろう。
こんな時に思い浮かぶのは轟くんの顔ばかり。瞳から溢れるのは一雫の涙。でもここに轟くんはいないのだ。自分一人で何とかしなければ…でも。
助けを求めるように後ろを向けば、一人の人と目が合う。だけど次の瞬間、私は絶望した。
(そのままでいい、そのまま奴の秘密を探れ)
心の声で話しかけ、私に不敵な笑みを浮かべる父親の姿。それは最低最悪な親だった。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
