No.14 ページ14
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あれから数週間、轟くんや緑谷と会うことはなかった。そもそも普通科とヒーロー科では忙しさのレベルが違うのだから当然だろう。
しかしそれだけではないのも、また事実。
昼食場所は毎日人気がないところをローテーションで変え、シロと会う時も夜遅くにするようにした。
『今日も平和な1日だったな…』
誰にも話しかけられず、ただひたすら勉強するのみ。休み時間は音楽を聞いて、夜はシロと遊んで癒される…これが私の望んでいた世界なんだ。
なのに、なんで……。
なんで、こんなに虚しいんだろうか。
一人には慣れていたはずなのに、何かが足りない。
私が揺らす猫じゃらしを捕まえたシロは、不思議そうな表情で私を見つめる。その瞳は、孤独を知らないかのような純粋な瞳だった。
『シロは寂しくないの…？一人でいるの。いや、一匹になるのかな』
「シャー…！！」
『え、どうしたの…っ！』
「寂しいの？君。なら、俺と遊びに行かない？」
見たことのないシロの威嚇に驚いたけれど、視線の先は私ではなく、その後ろ。
振り返ればニヤリと微笑む男の姿があった。
「あれ？なんだこの猫。オスかぁ」
『……。』
何故、性別を気にするのだろうか。不思議な言動に男を睨み続けていると、男はまた不敵な笑みを浮かべる。
「その強気な感じ。俺、ちょー好み。その顔が乱れるのを早く拝みたいねぇ」
『その前に、あなたのその余裕ぶってる顔が乱れると思いますけど』
「は？…フッまぁいいよ。俺が必ず君を楽しませてみせるから」
そう言って、男は自身の手のひらをそっと私の頬へと近づけていったのだった。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
