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「あの、あれだ!作ちゃんの私服見るの初めてだ!私服こんな感じなんだね!」
作「・・・」
彼の下りきった眉毛は、私が彼のことを傷つけてしまったことを物語る。
ああ・・・遮るんじゃなかった。
作ちゃんのこんな悲しい顔、見たくなかった。自分のせいなのに。
作「・・・Aちゃんの制服姿も似合ってる」
「えっ!?・・・あ、ありがと」
ボソッと零されたそれに「やば・・・」と服装の話を振るんじゃなかったと後悔した。
彼はそれだけ言うと口を尖らせてて、ああ、拗ねちゃったかな?と不安になる。
「・・・あの、作ちゃん」
作「じゃあ、帰ります。プレゼント渡せたし。」
敬語に戻ってしまった上に淡々とした口調に今度は私が悲しくなる。
どうしよう。こんな風になりたかったんじゃない。
居心地が悪そうになった作ちゃんが「さようなら」って行こうとした時、咄嗟に腕を掴んで引き留めてしまった。
「えっと・・・」
作「・・・なに?」
少し冷たいその声に胸がぐらりと揺れてしまって。
私は彼を見上げて「・・・作ちゃんのお誕生日はいつ?」と問いかけた。
私がそう問いかけると彼は目を泳がせ私を見下ろしては言いづらそうに「9月30日、」と零した。
「そうなんだ・・・もうすぐだね」
作「・・・」
「私も祝ってもらえたから、作ちゃんのことお祝いするね」
作「・・・、」
「っ、」
彼は掴まれたままの腕を見つめて瞳を揺らすから、「ごめん」と離すと少し黙り込んだ。
「・・・」
作「お祝いって・・・俺もただの弟の友達でしょ」
「え・・・?」
ああ。
こんな気持ちなんだ。
友達の姉とか、弟の友達とか。
私たちは男女である前にそれなんだと思うと胸が苦しかった。
「っ、」
黙り込む彼に私もどうしようもなくて困ってたら、急に手を掴まれて「Aちゃん」とやけに真剣な声で呼ばれ真っ直ぐと綺麗な瞳に射抜かれた。
「作ちゃん?」
作「・・・Aちゃんの時間、俺にくれますか」
「え・・・?」
その眼差しは、いつの作ちゃんよりもずーっと真剣で、強引で、意思が強かった。
断る余地など与えられなくて、私は静かに頷いた。
ぎゅっと握られた手は、少しだけ震えてたみたい。ついでに言うと、胸も震えてたみたい。
「・・・、」
ああ、私、作ちゃんのこと・・・。
気づいてしまいたく、なかったな。
嘘。
本当は、とっくに分かってた。
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ゆっきん☆(プロフ) - お話、ワクワク、ドキドキしながら、読ませてもらっています。続きが気になって途中で中断しなくちゃいけないときは早く続きが読みたくてソワソワしちゃいます。めちゃんこ、面白いです!! (2021年10月10日 20時) (レス) @page49 id: 6a5a4dc15b (このIDを非表示/違反報告)
しず(プロフ) - あらんですよね、?笑 (2019年5月24日 17時) (レス) id: 56d3701af2 (このIDを非表示/違反報告)
ポップコーン(プロフ) - 大好きすぎます!らぶはうすからずっと愛美さんの物語を読ませて頂いていますが、カラクリが見えていく感じも、心情が繊細に描かれている感じもすんごく好きです!楽しみにしています!! (2018年11月18日 0時) (レス) id: af868719a5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき音 - 面白くて一気読みしてしまいました〜!作ちゃん沼に落ちてしまったお姉さん(笑)なので自分と重ねて見てしまいます…更新楽しみにしています!頑張ってください! (2018年11月16日 18時) (レス) id: 2587946e14 (このIDを非表示/違反報告)
chii(プロフ) - 更新停止されちゃったのかと思って、1ヶ月前から毎日チェックしてました!!おひさしぶりです、!はやく続きよみたくてうずうずしてます〜 (2018年10月30日 20時) (レス) id: 130f1a370d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛美 | 作成日時:2018年8月17日 0時