・オトウト以上、コイビト未満。【Ryuto.S】

■ ページ24

バタバタと凪を出て行くと、なぜか凪の前に作ちゃんがいてじっと見つめられた。




作「・・・」

「えっと、お疲れ」

作「はい、」

「これから、帰る？」

作「・・・」

「え？」



彼は私を見つめて、制服の裾を触り始めるから「やっぱりこれも癖なのかな・・・」って思ってたら突然、「あっちの方に」って彼が駅の方を指差した。



「あっちの方？」

作「はい、あっちに・・・牛丼屋あるんです」

「あ・・・うん、知ってるよ」

作「・・・あの、」

「え？」



彼はそこまで言うと少し黙り込んで目を泳がせた後、私に「お腹、空いた」と教えてきた。




「・・・あは、お腹空いたねっ」




よくわからなくてそう返したけど、作ちゃんが求めてることがわからなくて困ってたら彼が私の手首を掴んだ。





「作ちゃん・・・？」


作「あの、、」


「・・・え？」


作「・・・一緒に、食べてください」




遠慮がちに掴まれた手首を見つめて私はただただ、困った。




「一緒に・・・？」

作「・・・っ、はい」





真っ赤になった頬。

伏し目がちに泳ぐ目。

私の手首を握る手が大きくて。

見上げた彼の表情が、なんだか頑張ってるように見えて。







「うん、いいよ」







気づいたら、そう答えてた。

断るつもりなんて、最初からなかったように。







作「いいの・・・？」


「・・・うん、」




「ああ、よかった」って心底安心したように笑う彼の顔。




作「じゃあ、行こ」


「・・・ん、」






嬉しそうな横顔を見たら、また胸がざわざわと音を立てた。







・・・彼に初めて、触れられた日だった。

■ (2018/8/29)→←■

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