空気だと思ってください【すとぷり】

さよなら、お家。 ページ2

特に大きな変化もない1日だった。


寒空の下、はぁと息を吐きながら帰路に着く。

世間は年明けセールだ初詣だで賑わう中私は今日もバイトだった。

初詣の出店の当番のバイトだ。

給料はあまり多くないがないよりはマシ。

そう思って頑張っていたのが午前11時ごろ。


そして、家に帰ってきたのが今、14時半である。

今朝の父はいつも通り眠っていた。

正直、父の失踪はいつものこと。


ふらりと出かけて2日3日帰ってこないのだ。

帰ってきたかと思えば、所持金を全部ギャンブルでスってくる。

本当にろくでもない父親だ。


でも、今回はいつもとはわけが違う。


『すまん、A。

借金の首が回らなくなったので父さんは遠くへ逃げます。

父さんの分も、借金の返済を頼んだ。
借金額はとても父さんの口からは言えない。

近々家に訪問してくる怖いお兄さんにでも聞いてください。

父さんのことは決して探さないで。

P.S.のちにその家は引き払われます。
出て行くのに大変だろうから、荷物は父さんが持って行く。

これが、最後にしてやれる父親らしいことです。
本当にすまなかった。』

ぐしゃりと置き手紙を握りしめ部屋を見渡した。

机や、タンスはもちろんご丁寧にカーペットまで全てなくなっている。


「ふぅ〜〜〜〜」

落ち着いて。冷静に。

深呼吸をして大家さんに鍵を返しに、家を出た。


もうここに帰って来れることはないのだろう。


17歳、AA家を失いました。

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