あなたに興味なんて…ない、 (ページ21)

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毎日、ジミンにはいろんな要求をされて、大変な事はあるけど、何故か嫌にはならないし、大きく疲れを感じることもない。

「あら、ホントに？よかった。雑誌読んで勉強中？」

開いたままだった雑誌を見て、師長はそう言った。

『はい。前回、他のメンバーの皆さんが御見舞に来たときに、全員の顔と名前を一致させることができなくて、会話に困ったので、必要最低限の事は覚えておこうと思って、いろいろ読みあさってたんです。』

今は、ジミンに協力してもらったりして、完全に全員の本名を言えるようになった。

「興味持っちゃった？」

ファンになったのか、仕事に支障は出ないのか、師長の問にはそんな意味がこもっているような気がした。

『いいえ、オーラはもちろんすごいなーとは思いましたけど、ただ、顔と名前と、多少の趣味とかぐらいしか覚えてないですし、それ以上は別に…。』

親しくなってきた今も、ジミンはやっぱり、1人の患者さんとして見ているし、雑誌を見ていても、アイドルってホントに大変な仕事なんだなーとか、皆オーラがすごいなーとかしか考えてなくて、別に曲聴いてみたい！とかって思うわけでもなく、ただ、仕事のための知識として見ているだけだった。

「そう、それなら安心だわ。じゃあ、これからもよろしくね。」

そう言って、残ったコーヒーをこれまた上品に飲み干し、師長は休憩室を出ていった。

『ん〜、ここまでアイドルに疎い事が役に立つとは…。』

アイドルに疎い私は、学生時代、同級生たちがしているアイドルの話に全くついていけなくて、私もアイドルに興味を持つべきなのかと思った。
でも、そう思うだけに留まって、何か調べるわけでも、曲を聴くわけでもなかった。

そんなふうにして生きてきたことが、こんなところで人の役に立つとは思っていなかった。

『よしっ、仕事に戻るか！』

雑誌を本棚に戻し、コーヒーのコップをゴミ箱に捨てて、ジミンの部屋に向かう。