愛されたい貴女へ【短編集】 (ページ3)

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ver.red ページ3

side skt

彼女の家のインターホンを鳴らす。

『ちょっと待ってね、今行く。』

と、端的な返事が返ってくる。鼻声だったような気がするが、それは出てきてから確かめればいい。

side you

坂田くんと学校に行くのが楽しみだから、朝が辛くない。…はずなんだけど、体がだるくて重い。頭痛もする。

風邪ひいた…

学校を休もうかと思ったけど今日は苦手な授業がある。1回授業休むとついていけなくなるしな。休めないか…

急いで朝の支度をする。しんどかったせいか動きがトロくなってしまう。

ふらつく足取りでハイソックスを履いていると軽やかな音を立ててインターホンが鳴る。坂田くんだ。

短く返事をして玄関へ向かう。心配させないようにしよう。そう決めてドアを開けた。

坂｢おはよー。鼻声？風邪？｣

｢そう？全然元気だよ？｣

坂｢そう？ま、体調悪なったりしたらすぐ言うんやで。｣

そう言って笑う坂田くんは世界で一番かっこいい。

取り敢えず7限が終わったら即家に帰って寝よう。そんなことを考えているうちに一限が始まる

異変は3限目の途中で起こった。朝飲んだ頭痛薬が切れてしまったのだ。猛烈な頭痛とだるさ。古典は大好きなのにその授業さえも頭に全く入らない。授業終了のチャイムで思わず机に突っ伏してしまった。

坂｢A？どうしたん？大丈夫？｣

横から小さな囁き声が聞こえる。坂田くんだ。｢大丈夫｣と答えたいけど大丈夫じゃないし、そもそも口を開くのもしんどい。
それを察した坂田くんは、前に居る先生の元へ小走りで行った。

『先生、こいつ、なんかしんどそうなので保健室連れて行ってきます。』という声がやけにはっきり聞こえた。

そのまま腕を引かれて保健室へ向かう。階段でバランスを崩して支えられる。私はそのまま歩こうとしたけど制され、無理やり抱っこされる。恥ずかしくて仕方なかったけど『誰もいないで』なんて言うからもう彼に任せるしかなかった。

それからずっと保健室で寝ていた。気づくと下校時刻になっていて、だるい体を引きずりつつ帰ろうとすると保健室のドアが開く。

坂｢Aー。迎えに来たで。どーせ無理して1人で帰ろうとしたんやろ？そんなん許さんよ。ほら、一緒に帰ろ？｣

保健室の先生の目が気になるが、ここはお言葉に甘えよう。

｢うん。ありがとね。｣

何も考えられなくなって、坂田くんの肩に体を預けた。

……結局、坂田くんは、泊まり込みでAちゃんの看病をしたんだとか