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ううん、って首を横に振る
料理を普段したりすることがない俺だから、
こういう手料理を食べるのは舘様が作った時以来
「いただきます」
手を揃えて合掌をする
たまたま声が重なって、目を見合わせて笑う
また顔を赤くするのだから、無自覚は本当にタチが悪い
「ん!…………美味し!」
家庭科で班が同じになった時以来
春ちゃんの手料理を食べるのは
温かみがあって、何より美味しい
嬉しそうに目を細めてる春ちゃんは、可愛いの塊だ
「んふふ笑」
笑う時にできる笑窪
クラスの自己紹介でよく使ってたな〜、なんて思い出す
そのキャッチフレーズが大好きだった
『えくぼは恋の落とし穴、春野癒夢です!』
(重岡くんの、借りました!by.作者)
今更思い出して、笑みがこぼれる
「…………?どうかしましたか?」
「んーん、なんでもないよ」
ご飯を食べ終わって、食器を洗う
さすがに、朝ごはんを作ってもらって食器まで洗ってもらうのは、気が引けるから俺が洗う
リビングのソファの端
ちょこんと座っている春ちゃんに、ココアを差し出す
少しだけぬるくしたココアを
「ありがとうございます」
嬉しそうに飲む春ちゃん
もう少しで、春ちゃんとお別れ
それが悲しくて悲しくて
でも、そんなこと言ってられない
「帰る準備してね」
やっぱり、別れは辛い
また俺は後悔をしてしまうのだろうか
『好き』ってたったの2文字を言えずに……
「じゃあ、バイバイ。……またね」
「はい!有難う御座いました。助かったです」
「ふふ笑」
相変わらず話すの苦手なんだって痛感して、
春ちゃんに『好き』って言葉を伝えられずに結局、別れを告げた
それから家に戻る
「ただいま〜」
元気になんてなれない
たくさんの努力をして、春ちゃんのことを忘れようとした
でも昨日春ちゃんに出会って、確実に想いは募っていた
ソファに座ったと同時にスマホの着信音が響く
『今から、遊びに行くけど来る?』
って連絡が入って、
『いいよ』
なんて素っ気ない返事を返す
もちろん、遊びに行く理由は春ちゃんのことを忘れるため
必要最低限のものを持って、島の外へと出る
あいつとの待ち合わせ場所は確実にここだ!
っていう場所を俺はもう知っている
「おっそ」
10分待ってもあいつは来ない
15分待ったところであいつの姿が見えた
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作者名:wwssseee | 作成日時:2019年6月3日 22時