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宿儺様の部屋に着くと、私は今朝まで寝ていた布団の上に降ろされた
そして宿儺様は、布団の横に胡座をかいて座った
その間ずっと、私の頭の中は真っ白だった
理由があったとはいえ、今日の私の行動は失礼にも程があった
その事に今やっと気づき、だがもう遅いことも同時に悟った
さっきまで顔に集まっていた熱が、一気に冷めていく感覚が分かった
目の前に座った宿儺様の顔を見ることが出来ない
私は、俯きながらも、必死に謝罪の言葉を探した
貴「あ、あの、宿儺様」
宿「待て。俺から話す。」
貴(!)
宿「A、何故避けた?」
貴「……それは、その、昨日と今朝のことが恥ずかしくて…」
宿「本当にそれだけか?」
貴「…」
貴(言えない。これ以上宿儺様といると、今以上を望んでしまうから、だなんて。)
貴「…」
宿「……そうか、言えぬか。
……なら、もう良い。」
貴「ぇ…?」
ため息をつきながらそう言うと、宿儺様は立ち上がって扉の方へ体を向けた
貴(えっ、ま、待って…行かないで)
伸ばした手は空を切り、その思いも声になることはなかった
貴(だめ、私には、宿儺様の隣以外に居場所はない…宿儺様に捨てられてしまっては、生きる意味さえ分からない…)
宿儺様を追いかける為に立ち上がろうとしたが、呪力を消費し過ぎた私はそれさえ出来ず、何とか手をついて四つん這いになることが精一杯だった
(どうしたらいい?全て本当のことを言う?けど、それでは……従者でいることが条件でこの屋敷にいられているのに、その関係が崩れてしまう…)
だからそれ以上を求めてはいけない
(だけど、、このままでは…
本当に終わってしまう。………いや………それだけは…)
貴「…ぃや」
宿「…なら、俺を避けていた本当の理由を、」
貴「ごめ、んなさい」ヒック
耐えきれなくなった涙がボロボロと落ち、下を向いている私の目から直接、床の畳へと染みていった
宿「!! A、」
宿儺様が私のもとへ戻ってくる
こんなことでしか、宿儺様を繋ぎ止められない自分が情けなくて、余計に涙が込み上げてきた
宿儺様は、下を向いている私の肩を優しく掴んで、上を向かせるように私の体を起こした
それでも私は、宿儺様の顔を見ることが出来ずに下を向き続けた
宿「A、」
貴「…好き、なんです」
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たわし - 尊い、、、。ぬふ、ぬふふ (2021年3月7日 14時) (レス) id: 6472def61e (このIDを非表示/違反報告)
さとる - 尊い泣ける (2021年3月7日 13時) (レス) id: 63ad36ada3 (このIDを非表示/違反報告)
yu(プロフ) - 一気読みしました!!すごいおもしろいです!! (2021年3月6日 22時) (レス) id: 96a71449d3 (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2021年3月4日 3時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
猫人形 元猫耳アヤツリ人形 (°∀° )(プロフ) - こういうの読みたかった!書いてくださりありがとうございます…> < 読んでいてとっても楽しいです!更新楽しみにしています! (2021年2月17日 6時) (レス) id: d4943c1156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わさ | 作者ホームページ:http://sakikoni0708
作成日時:2021年2月13日 0時