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第51話 ページ6

−−喫茶店にて−−


ナオ「…私の名前、神崎ナオって言うの」


簓「ナオちゃん、言うんやな

宜しゅう」


ナオ「白膠木さんの事はテレビでよく見るから知ってる

お父さんとお母さんも大ファン」


簓「…そうなんねやな

そらおおきに」


ナオ「でも、貴方が有名になる前から私はその名前を知っていた」


簓「…おん?」


俺は自分の好物のメロンソーダを頼んで、嬢ちゃんはタルトと紅茶を頼んで「自分の金で払う」言うて俺に金払わせようとはせんで話をし始めていた


ナオ「…私のおばあちゃんはたまに異世界の話を私に聞かせてくれた」


簓「…おん?」


ナオ「…お父さんは御伽噺だって言って、子供の時に自分に言い聞かせてくれたオリジナルのストーリーだっていう認識をしている

でも私はそうじゃないと思ってる、話をしているおばあちゃんの顔が真剣そのものだから」


簓「…」


ナオ「私のおばあちゃんはね、若い時に原因不明の昏睡に陥った時があるんだって

その時に長い夢を見ていたって話をしているの

箒で空を飛ぶ人間、耳の生えた獣人、海を泳ぐ人魚…魔法がある場所で自分は学生として生きていた事があるっていう、そういう話を」


何や変わった話しはるな思て聞いてると、嬢ちゃんはやがてこう言う


ナオ「その時の夢からおばあちゃんがここに帰って来られた要因は不明

だけどおばあちゃんは夢から覚めても様子がおかしかった

…夢の中で起きた悪い出来事を引き摺っているの」


簓「…?」


ナオ「…おばあちゃんはその夢の中で1人の人間が死ぬのを止める事ができなかった

夢の中の住人は皆その人の事が好きだった

だけどおばあちゃんが原因でその人は死んだ

…だから誰かの大切な人を自分が奪う事にならないように、自分の行動に責任を持って生きろってよく私に言い聞かせてた

反面でしょうもない事に出くわしたらどう逃げれば良いかもしょっちゅう教えてくれて、何となくただの日本で幸せに生きてきた人間とは違うんだろうなって私はおばあちゃんを認識していた」


過去を振り返るように笑って言う嬢ちゃんの目は、少しの寂寥感を孕んでいるようにも見える


そのおばあちゃんの事をきっとこの嬢ちゃんは好きやったんやろな


ナオ「…それで、その時に死んだ1人の人間の名前が「サシャ・ヌルデ」って言うんだって

…これが偶然だと思える?」


簓「…!!」


俺は嬢ちゃんのその言葉に衝撃を受けて、つい身体が前に乗り出すのを感じていた

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作者名:ユウ | 作成日時:2021年7月31日 13時

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