ウチとアンタと、キミの言の葉2 (ページ46)

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第91話ページ46

フロイドside

フロイド「…俺別に茎ワカメちゃんの髪が長いとか短いとかどーでも良いんだけどさぁ」

『…どうでもええんなら何も言わんでええやん

そない事気にしてへんで、はよ帰り？』

茎ワカメちゃんの事はやっぱり俺よく分からない

何が起こっていたのかはこの態度で予測できる

多分ジェイドと何かがあって、自分で髪切る真似をしでかしたんだろう

でもそれが「ジェイドの望んでいない事」だって言うのは分かっていないんだよね

でも逆に俺もそこで疑問を抱く

何で俺はこの茎ワカメちゃんのしでかしている事にいちいち「嫌悪」とか「怒り」のような思いを抱くのか

何で俺がわざわざ茎ワカメちゃんに「ジェイドの嫌がる事するなよ」って言いたくなるのか

確かに、そんなの茎ワカメちゃんの言う通り無視して通れば良いだけなのに

ジェイドの事を守るとかそんなの俺の柄でもないし、そういうつもりでその言葉を伝えたいのとも違う

多分、単に俺は「茎ワカメちゃんと同じ目線でものを言えるようになりたい」っていう思いを抱いているんだ

だけど何で俺らは茎ワカメちゃんと「同じ」でいたいのだろう

その事に、何の理由もないのに

フロイド「…」

なんか俺こーいうのって初めて

訳の分からないこの人間のオンナノコに、俺は自分の抱く「斥力」よりも「引力」を働かせたいって感情が芽生えてきちゃう

茎ワカメちゃんの有耶無耶にしている「本来の姿」を暴いて、そしてめちゃくちゃにしちゃってやりたい

今そこに存在している茎ワカメちゃんの「邪魔なもの」を取り払って、だけどそれが「茎ワカメちゃん」っていう存在である事自体は変えたくない

だけどそれはきっと「加虐心」に限りなく近い

きっと俺は茎ワカメちゃんの操る「言葉の魔法」に惑わされて、少しだけ頭がおかしくなってきてるだけなんだ

本来の俺は、きっとこういう「俺」じゃねーはずだから

フロイド「…ねぇ、どうせ短くしたんだったらさ」

『…おん？』

フロイド「頭に何もなくてさみしーし耳に飾りとかつけてみるのどう？

見た感じ穴開いてねーし、まずそこからやってみる？」

俺がそうやって試すように言えば、茎ワカメちゃんは笑ってこう返す

『…耳に穴開けるんは初めてやからなぁ

ドキドキしてまうわ』

フロイド「あはっ、ビビってんの？

そーいうのは抵抗あるんだね」

俺は何となく、茎ワカメちゃんの「掴み方」が分かってきて、つい笑いながらそう答えていた