ウチとアンタと、キミの言の葉

第47話 ページ50

そしてウチは長話を終えて、1人自分の部屋に戻る


その途中で、どこかから誰かの声が聞こえる


？「…汝に残されている時間は短い」


『…おん？』


？「戻るなら早い方が良い

戻れなくなるぞ

取り返しのつかない事になるとしても、汝はここに留まるつもりでいるのか？」


どこの誰の声かも分からんで、ウチの周りには誰もいない状況やし天の声かなんかか思てそのまま声の主に返す


『…ええんよ

この先何が起こったとしたって、ウチはウチのままあり続けるんや』


？「それがどこかで誰かを不幸にするとしてもか？」


『…？』


何が言いたいんかがよう分からんで、でもウチの答えなんてそない変わる事もあらへんねやから一瞬だけ崩した笑顔をもう一回浮かべて声の主に言い返す


『…不幸になる人間なんやおらんよ

ウチがおらん事で清々する人間の方がきっと多いねんな』


？「自分が「悪」と認めるのか？」


『…せや

ウチは「悪(ヴィラン)」やねん』


ウチはあの世界における「悪」や


悪は英雄と身を張って戦い抜いて、そして物語が幸運のエンディングを迎えるために打ち倒されるために存在してるんや


そして飴村さんは、そないウチを倒した「英雄」っちゅー訳や


本音を言うんなら、ウチを倒すのは飴村さんと違う相手が良かったんやけど


『…きっとウチが消えて、英雄達は平和な世界の中で毎日笑て過ごしてるんやろ

それでええんや、ほんならウチも消える甲斐があるねん』


？「…」


顔も見えない声の主は一瞬黙って、やがてウチにこう告げる


？「…汝の魂の拠り所はこの世界には存在していない」


『…うん』


？「そして未来であっても、汝はこの世界に拠り所を持つ事にはならない」


『…？』


？「虚な肉体と魂が消えゆく事を願っていないのであれば、汝はここから抜ける事を考えよ」


何を言いたいんや分からないけど、それ以上その声はもう聞こえんくなった


『…？…何の話やろ

ウチは消えて、いずれここのもんに変わる時を待っている段階やないんの？』


そう独り言ちて、それ以上は答えも分からんから素直に寮の部屋へ戻る事に決めていた

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