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XVI ページ16

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心理学的にも、適度な暗さは、人に緊張や興奮を与えるものだという。そんな状態で、人の顔が見えると安心感が大きくなり、暗さによって大きくなった瞳を見ると相手に好意を抱きやすくなるそうだ。プロポーズする場所の一つとして重宝されてきたのも、きっとそれが理由なのであろう。

そんなこの場所に連れ出した彼の意図はまだよくわかっていない。なので、既に回ったアルコールのせいにでもしておこう。
グラスに触れている指先は、ほんのりと冷たい。それは、深くへ行くにつれて冷たくなっていく海のようだった。適温だと感じた海でも、深くへ行けば身が凍える。


「なァ、」

「なに」


呼びかけに無視するほど子供じゃない。それは、舐められたくないという対抗心から来ているのか、それとも彼との会話をしたいだけなのか。どっちでもいいや、と考えることを放棄する。バーテンダーが高い音でグラスを合わせたり、シェイカーを振る音。それ以外の無駄な音は、脳内でかき消されている訳ではなくそこに存在しないのだ。



「愛してる」



「……そう」


静かなこの空間に飛び出したその言葉は、空気よりも軽く感じた。なんの色もついていない、私を酔わせるアルコールなんて一滴も入っていない。その言葉に酔ったフリをして言葉を返すほどの役者でもない私は、それを独り言のように受け取った。

それが不満だったのか、私の唇は一瞬にして奪われた。




「……っ、愛してる」



「っ、は、嫌な男」


真紅のマットなリップは伸ばされていて、それを見て彼は魅力的に微笑んだ。支配感を覚えたのだろうか、なんだかその目は愛らしいペットを見るようだった。



私の汚された唇に着いたリップよりも深くて醜い色。それなのに、キラキラと淡い光に反射して輝くルビーのように美しい。そんな赤のポートワインは、グラスを通して彼の手から私の指先に渡り、触れただけだった。


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湯木(プロフ) - ゆうひさん» 返信有難うございます( ;; )本当の事ですよ!この小説の設定が私の性癖に刺さりすぎて辛いです.......季節の変わり目で風邪の引きやすい季節になってきているのでゆうひさんのお身体に負担がかからないぐらいで更新頑張ってください!応援してます! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - 湯木さん» 飛んできてくれてありがとうございます~!!私が銀魂夢を書き始めた頃からお世話になってる愛しのお友達ちゃんです笑エモさを感じてくれてめちゃくちゃ嬉しいです~!!!!ワー!!本当のことならば幸せです… (2019年5月24日 0時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
湯木(プロフ) - 堕天使さんの所から飛んできました!堕天使さんの作品を読む前に題名が目に付いて後で読もうと思っていたのですがまさか堕天使さんのお友達だったとは!!ほんとにエモくて死にそうです.......。類は友を呼ぶって本当なんですね! (2019年5月24日 0時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうひ | 作成日時:2019年5月19日 23時

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