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XI ページ11

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メールも返さず、そのまま布団の中に潜り込み現実世界をシャットアウトしようと試みた。だが、布団も彼の匂いが染み付いてしまっていて、ここで二人夜を過ごした日を思い出してしまった。もう、家にいるのさえ心が痛むのだ。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、知識、感情、骨の髄まで侵食まで滲み出るほど感銘されていた。




気分転換なんてできると思ってはいないが、この気持ちを思い出すことがないくらい他のことで、忙しく脳を回転させたかった。仕事は多くの人と接するため、彼に繋がる可能性が少なからずある。申し訳ない気持ちもあったが、休みを取らせてもらった。

知人と関わる気力なんて持ち合わせていなかったため、赤の他人と過去のことなど考えず時間を過ごしたかった。そこに入ってきた1本の留守電は、ここまでの私の感情を全て読み取っていたかのようだった。




そう思っていたのだが、少し的外れな留守電だと2分後に気がつく。こんなところも、彼女らしくて恨めない。


少し前にショッピングに出かけた時に、フルコーデしてもらった服とメイクは流石としか言い様がない。私に似合うように、と彼女とはまた雰囲気の違うメイクは確かに私にピッタリだった。リップの色も、こっちの方が似合うと色々試してくれながら選んでくれた。どれもこれもが、私のためにこの世界に作られたように感じられた。

それを随分と楽しんでいたようで、約束の時間はあっという間に迫っていた。まずいまずいと思いながら、バタンと玄関の扉を閉めた。その扉は、幾分か軽くなっていた気がする。



「あ、Aちゃんっ!こっち、こっちぃ」

「なる、ありがとね」


「え、全然いいよぉ?私も今は仕事したい気分なの!」


んふふん、と猫のように笑う彼女は、この前あった時よりも随分とお洒落で可愛い。ふわふわとしているにも関わらず、がっちりと爪まで手入れが行き届いた綺麗な小さな手で私の手を掴んでいた。それもまた、彼女の可愛いところなのだ。


でも、そんな彼女の笑顔はなんだか天気雨のような、そんな笑顔だった。


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湯木(プロフ) - ゆうひさん» 返信有難うございます( ;; )本当の事ですよ!この小説の設定が私の性癖に刺さりすぎて辛いです.......季節の変わり目で風邪の引きやすい季節になってきているのでゆうひさんのお身体に負担がかからないぐらいで更新頑張ってください!応援してます! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - 湯木さん» 飛んできてくれてありがとうございます~!!私が銀魂夢を書き始めた頃からお世話になってる愛しのお友達ちゃんです笑エモさを感じてくれてめちゃくちゃ嬉しいです~!!!!ワー!!本当のことならば幸せです… (2019年5月24日 0時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
湯木(プロフ) - 堕天使さんの所から飛んできました!堕天使さんの作品を読む前に題名が目に付いて後で読もうと思っていたのですがまさか堕天使さんのお友達だったとは!!ほんとにエモくて死にそうです.......。類は友を呼ぶって本当なんですね! (2019年5月24日 0時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうひ | 作成日時:2019年5月19日 23時

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