才媛のヴァイオリニスト[Alan_S] (ページ16)

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理由ページ16

亜｢おじゃましまーす。｣

母｢いらっしゃい。
あら？ヴァイオリン教えるなんて言うからてっきり女の子かと...やるわね、A(ﾎﾞｿｯ｣

『そんなんじゃないから。』

伸｢姉さん、この部屋入っちゃダメだからね。｣

母｢なんで伸之まで来たのよ。｣

伸｢Aがヴァイオリンの道に戻ってきたの、俺のおかげと言っても過言ではないんだからな。｣

母｢はいはい。｣

そう言いながら、ふたりはリビングに戻って行った

白濱亜嵐は置いている楽譜の束や盾、賞状、トロフィーをぐるぐると見回しながらニヤけている。

亜｢やっぱすげーんだな！｣

『私のことはいいから。まずは弾いてみて。』

亜｢はい！えーと...｣

＿＿＿＿＿ｷﾞｺ～～～～ｷｭｲｷﾞｭｲｰﾝ～～～

『ちょ、ちょっとストップ！！』

亜｢ん？どうしたの？｣

『は？今のでいいと思ってんの！？』

亜｢え？どこがダメなの？｣

『全部！』

白濱亜嵐の腕前は思ったよりもずっとひどくて、ヴァイオリニストにするには時間がかかりそうだった。

『もっと左腕は高く。
それから指が寝てるから隣の弦まで触れてる。
そして右手は力が入りすぎて弦が傷んでるし、いい音も出ない。もっと軽くして。』

亜｢お手本見せてくれなきゃわかんない～｣

『ていうかなんでヴァイオリンやろうと思ったわけ？』

亜｢あ、話逸らした～｣

『別にチューバのままで良かったじゃん。』

亜｢ん？.....そうだね。
でもまぁなんて言うか...やってみたかった的な？笑｣

『ふーん、そんな軽い気持ちでねぇ...』

亜｢いや！そういう意味じゃなくてね！
俺楽器演奏するの大好きだから、やると決めたからには絶対やる！｣

『あーそ。』

白濱亜嵐はヘラヘラ笑いながらまたヴァイオリンを弾き始めた。

先程の音とほぼ変わっていなかったものの、本人の真剣な顔を見ると今度は止められなかった。