九十七 ページ22
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「女一人に三人がかりとは、大したもんじゃのう」
「三人って卑怯すぎるわよ」
女二人は苦無を男に投げつけた。
銀時は床に転がる男達をずるずると引きずり、シャワー室の外に出す。
入り口にいた神楽と新八に、警察を呼ぶよう指示していたようだった。
あやめは駆け寄り、シャワーの蛇口を撚り、湯を止めた。
「Aちゃん、大丈夫?」
「大丈夫です、ちょっと触られたくらいなんで」
乱れた水着を直していると、顔に布がばさりと投げかけられる。
それを月詠は取り、Aに着せた。
(あ、これ…銀さんの匂いがする)
少しぶかぶかなそれに、Aはほっと撫で下ろす。
そして、
「お、おい!A!」
「Aちゃん?!」
月詠とあやめの目を丸くした様子を最後に、ふ、と意識が飛んだ。
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目が覚めると、知らない部屋とかちかちとなる時計の音。
起き上がると、椅子に腰をかける影が数人。
Aが目を覚ましたのに気がついて、女達はがたりと立ち上がった。
「Aちゃん…!」
「ん…お妙さん?」
どうしてここに、と尋ねる前に抱き締められる。
「よかったあ。心配したのよ」
温かい温もりに、Aは妙に腕を回した。
服はいつもの着物に代わっていて、髪は少しだけ濡れていた。
月詠が近づいてきて、Aの頬に触れる。
「ったく。無理をするなと常々言っておるじゃろう」
「すみません」
「こんなに頬を赤くして」
月詠は、未だ火照りが残るAの頬をつねった。
外はもう日が落ちていて。
大きな太陽が、空を橙色に染めていた。
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救護室を出、プールの出口に向かうと、銀時がだるそうに階段に座り込んでいた。
夕焼けに照らされる銀色の髪は、きらきらと光っていた。
「よう。大丈夫か」
銀時はビニル袋片手に、Aを見る。
Aはその隣に腰をかけた。
すると、ごそごそとビニル袋の中を漁る。
「ん、これ」
チューペットを半分に折り、片方をAに手渡す。
「それでその赤い顔、冷やせ」
「う、冷たっ」
アイスを持った冷えた手で、Aの頬に優しく触れた。
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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時