九十五 ページ20
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(やれやれ、お盛んなこって…)
中から聞こえる声にAは頭を抱えた。
いちゃいちゃするのは構わないが、場所が場所である。
監視員をしている以上、注意をしなければならないと腹をくくった。
カーテンに手を掛け、思いきり開ける。
「あのーお忙しいところ失礼しますが、ここはこういうところじゃない、ん、で…」
中を見て、言葉が詰まる。
女は涙目になりながら、Aを見て、口をぱくぱくとさせる。
男は睨みながら、低い声で言う。
「おう、姉ちゃん悪かったのう。場所変えるから」
すまんかった、と言い、無理矢理女の手を引く。
女は抵抗し、引きずられるようにして連れて行かれる。
すれ違い様に、
「お姉さ、助け」
と小さな声がして、咄嗟に女の細い腕を掴んだ。
「…姉ちゃん、何をする」
「お兄さん、もしかして、この女の子と面識ないんじゃないんですか」
Aの言葉に、男はぴくりと反応する。
その不意をつき、Aは男の腹に蹴りを入れた。
勢いで男が掴む腕は離れ、Aは女の腕を引っ張り、シャワー室の入り口に連れて行く。
「大丈夫?」
「すみませ…ありがと、ございます」
肩は震えていて、潤んだ瞳から涙が溢れた。
女の服は乱れていて、Aは着ていた監視員のシャツを女に着せた。
「こっちはなんとかするから、監視員呼んできて」
「でも…お姉さ」
Aの背後で、男が立ち上がるのを感じる。
女はそれを見て、またかたかたと震え出す。
そんな彼女の肩を持ち、
「私なら大丈夫だから。お願い、早く呼んできて」
優しく問いかければ、女はプールサイドへと足を向けた。
男は立ち上がり、舐めるようにAの身体を見つめる。
「ほお。多少傷物みたいだがなかなか良い女じゃねえか」
「貴方みたいな人に女扱いされても嬉しくないんでね」
ぶっきらぼうに言い放ち、Aは男に立ち塞ぐ。
個室に女が一人。
そんな状況に、男はにやりと笑う。
「さっきのお姉さんに酷い目を合わせるなら、私がお相手しますよ。
拳で、ですけどね」
Aの言葉に、男はくくっと声を出して笑った。
突然の笑みに、Aが戸惑っていると、背後の扉がきぃ、と音を立てて開かれる。
「んんっ」
後ろから手が伸びてきて、口を塞がれる。
背後には二人の男。
「じゃ、俺ら三人と遊んでよ、監視員のお姉さん」
前にいた男は歩み寄ってきて、Aの腰を抱いた。
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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時