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「良かったな、エリザベス」
突如聞こえてきたヅラの甘ったるい声に目を向けると、そこにはエリザベスが2匹。
____ではなく、エリザベスとエリザベスの着ぐるみを着た変態が1人。
「……おいヅラ、テメー何してやがんだ」
「ヅラじゃない、か…エリザベスだ」
「今、かって言ったよな、絶対桂だって言おうとしたよな?」
「A殿、俺にも抱きつ…」
「させるかァァァァ!!」
「ザベスッッッ!!!」
ヅラに渾身の一発入れると、着ぐるみ作戦は諦めたようでボサボサの頭を直しながら戻ってきた。
いつの間に着替えたんだよ。
俺もコイツと同じ事考えてるようじゃ、いよいよ終いだ。
馬鹿さ加減にため息をひとつつくも、Aちゃんは気づく様子もなくエリザベスと戯れていた。
はぁぁぁもう、ほんと。
純粋無垢って彼女のために作られた言葉じゃない?
「しっかしよ、お前が女に入れ込むなんざ珍しいこともあったもんだ」
「…入れ込んでいるわけじゃない、なんだか放って置けなくてな」
「……」
「……安心しろ、銀時。お前から奪おうなどと思ってはいない。かわいいものはモフモフしたくなる、それと一緒だ」
「…なっ、」
「行くぞ、エリザベス。男の嫉妬は怖いからな。A殿、また来る」
フッと笑うと、颯爽と歩いていったヅラ。
……そんなに分かりやすいか、俺。
「ありがとうございました!」
にこにこと手を振る彼女が、不意にこちらを向く。
「……銀時さん、これは銀時さんの分です」
はい、と手に乗せられたのはヅラに渡していたものと同じく丁寧にラッピングされたクッキー。
「えっ、まじで!!いいの!?」
「ふふ、まじです。他の人には内緒ですよ」
目を細めて柔らかく微笑む彼女は、そっと唇に人差し指を当てる。
その仕草が妙に大人びて見えて、心臓が苦しくなったのはきっと気のせいなんかじゃない。
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日向(プロフ) - 由菜君さん» わああ嬉しいです…!!!キュンキュンして頂けて良かったです!ありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 381さん» そう言っていただけてとっても嬉しいです!!こちらこそ素敵なコメントありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
由菜君 - めちゃくちゃキュンキュンしました、、!すっごく良かったです! (2021年2月9日 21時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)
381 - 神楽ちゃんがおもしろくて、、、一気に読ませていただきました!とっても素敵な作品をありがとうございますッ! (2021年1月25日 21時) (レス) id: 664ca7d814 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - Kさん» まさにそういったものが描けたらと思って作った作品なので、そう言って頂けて本当に本当に嬉しいです…!ドキドキさせられて良かったです!こちらこそこの作品に出逢って頂いてありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2020年11月1日 19時