ヘドロの森のバイトちゃんは今日も天使【坂田銀時】

#28 ページ28

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「こっち？」

「はい、」

「ん、じゃー行くか」









彼は丁寧に原付きを停めて、隣を歩く。

今じゃ少しは慣れてきたけれど、初めの頃は緊張しすぎて正直あんまり記憶がない。









「Aちゃん、」

「……？」

「こっちおいで、危ねーから」









車の通りも多い道。

さり気なく車道側を歩く銀時さん。









(あぁ、もう…)

こんなよくある定番のシチュエーションでも、やっぱりときめいちゃう。









「ありがとうございます、」

「ん、どーいたしまして」

「……っ、」

「……どうした？」

「えっ、いや…何でもないです」

「そ？」









ならいーんだけど、と銀時さんは微笑む。

本当にまずい。

仕事中なのに、どうしても浮かれてしまう。









(あぁ、好きだな、)









こんなにも、胸が痛い。

時々触れる肩も、彼が合わせてくれる歩幅も。

彼のすべてが、愛おしい。









「Aちゃんストップ、」

「え……？」









腕を引かれて彼の大きな背に隠されたと思うと、彼はいつの間にか木刀を抜いていて。









「おーおー、物騒なモン持ってんなァ」









その先には、不機嫌そうにこちらを睨む男がいた。









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