ヘドロの森のバイトちゃんは今日も天使【坂田銀時】

#23 ページ23

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「……っ、…はっ、」









あちこち探し回っても、どこにも見当たらねェ。

歌舞伎町のネオンが色濃くなってきやがった。









「…、どこにいんだ、」









こんな広い町を一人、ただ走っても意味がねェってことなんざ、とっくに分かってた。

ただ走ってねーと、動いてねーと、どうにかなっちまいそうで。









あの日、包帯を目にした日。





何でもっと問いたださなかった。

何でその怪我の訳を聞かなかった。






彼女の、曇った笑顔に気付いていたのに。









「クソ、」









押し寄せる後悔に飲まれて、一人雨の中を走り続けた。









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探しても探しても見つからないまま、もう夜明けが近づいていた。

その暗闇を辿って、着いたのはヘドロの森。





気付けば雨も上がっていた。

水を含んだ着物がやけに重い。






一度冷静になるためにも着替えようと、万事屋への階段を上る。









「……っ、」









玄関の前。

小さく丸まった背中。





怯えたように顔を上げて、俺を映したその瞳に、浮かんだ涙。









「Aちゃん、」









小さく漏れた名前に、彼女は勢いよく立ち上がると、ほとんどぶつかるように俺の背中に腕を回した。









ぎゅう、と抱きついてきたその小さな身体が震えていることに気がついて。



彼女に涙を流させた全てから守れるように、俺も強く、強く抱きしめた。









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