立花彩、歌い手始めました。【KZ】【utit】

にじゅうさん ページ23

彩side



最後になって申し訳ない気持ちで、そらるさんを起こしに行く。
ノックしてからドアの向こうに呼び掛ける。


「そらるさん、そらるs…」

と、二回目を言おうとしたとき。
ｶﾞﾁｬとドアの開く音と同時に大きな影が現れた。


「え……？」


何が起きたか考える隙もなく、部屋に引っ張られた。
怖くて瞑っていた目を開くと日光がカーテンの隙間から覗いているが薄暗い部屋の中だった。

目だけを動かして部屋を見ると青色で統一された、カッコいい部屋だった。


………そして隣に温もりを感じる。


「あの、そらるさん、」

隣にいる多分確信犯のそらるさんに話し掛ける。


すると耳元で囁かれた。

「彩ちゃん、おはよ」
「……おはようございます」


耳がくすぐったい。
できるだけ表には出さずに言う。


「そらるさん、どうしたんですか」

するとそらるさんは絶対分かってるだろうに、「何が？」と言った。


「……い、いきなり抱きついてきてるじゃないですか」
「だって眠いんだもん」


それ理由になってないような……
そう言っても離れてくれなくて困っていた。どうしたらいいか分からなかった。

そんな私をそらるさんは悪戯っぽい笑みを浮かべながらからかってきた。


「何、照れてるの？」
「ち、違います！離してください！」


素直に、でも面白く無さそうな顔で私を解放してくれた。


「ごめんね、眠いから許して！さ、みんなのとこ行こうよ！」

今度は私の後ろに周り、昨日の様に背中を押してきた。
暖かくて大きな手に押されながら、リビングへと向かった。



が、リビングは戦場になっていた。
突然嵐が襲ってきたみたい。

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