【実.況.者】お隣さんの通勤事情【蘭.た.ん】 (ページ12)

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遠回りだよ、お隣さんページ12

________ そしてついに仕事帰り。

いつも通り駅構内のコンビニへ寄り、晩御飯を買う。
ありがとうございました、と言う根暗な店員の無愛想な顔を横目に店を出る。

あーあ、ほら。電車来ちゃったよ。
ささっと乗り込み、いつも通りお隣さんの隣に座る。

彼女のイヤホンから漏れる曲は、俺が少し前に聴いていた「罠」。
よかった、話のネタがある…と内心ホッとする。
さて、どう話しかけるか。

…『あの、音漏れてました。さっき。』
…「あ！…すみません…」
…『大丈夫ですよ。俺もその曲好きなんで』
…「そうなんですか！？奇遇…」

…この感じで行くか。最悪無視されてももう良い。当たって砕けろの精神だ。よし、頑張れ俺。

______ お隣さんが普段降りる駅で降り、改札を出る。タクシー代は持っている。

とにかく、勇気を出して話し掛けなければ。
意を決してお隣さんの方を向くと…

…いない。あれ？帰ったのか？

辺りを見渡してもいないし、どこかに隠れてる様子もない。

えっ、嘘、まじで？……いや、まだ間に合うはず。急いでホームに戻る。……居ない、やっぱりいない。

少しがっかりした。タクシー代は…。

それに俺、やってることストーカーじゃねぇか。キモ………とと朝のやる気は何処へやら、ネガティヴ思考へ突入してしまった。

あー、もう。とりあえず、帰ろう…。