【 男主 】龍に好かれる体質のようで【 BL 】

第４１話【 呼び出し 】 ページ41

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Aがバラッド学園に通い始めてから１週間。

以前は部屋に籠(こも)りきりだったジェイルはあの勉強会以来、教室にもちょくちょく現れるようになった。

その大半はAに半(なか)ば引き摺られての登場となってはいるが。


クラインも最近ではその状況に慣れてきている様で、相変わらずジェイルへ悪態(あくたい)は吐くものの当時に比べればマシになったと言えるだろう。


A自身もこの世界に馴染み始め、文字の読み書きも完璧である。
以前の世界においては、記憶力がよろしくなかったAだが、こちらの世界では驚く程に記憶力が良い。これもオプション的な何かなのだろうか。



そして、Aは今日もクラインとジェイルを連れて教室へと向かう。

歩き慣れた長い螺旋(らせん)階段を下り、何時も通り図書室へと向かう。



「 うん、文字の読み書きに関してはもう問題ないんじゃないかな。」

『 マジで？ 』

「 お前にしちゃ、上出来だな。」



Aが埋めた解答欄を見詰めたクラインとジェイルが告げる。
クラインお手製のテキストを全て解き終え、Aは机へと突っ伏していた。

元々、座学が得意ではないA。
クラインとジェイルの言葉に胸を撫で下ろし、瞳を閉じる。



『 久々にこんなに勉強したわ…。』

「 ははっ、お疲れ。」



わしゃわしゃと髪を撫でられる。
何時もであれば手を払うなりなんなりした所だが、生憎(あいにく)とAは頭を使いすぎて疲れていた。



「 Aー、学園長が呼んでる！ 」

『 イリス学園長が？ 』



クラスメイトの声に突っ伏していた顔を上げ、教室の扉へと目を向ける。
すると、小さく手を振るイリスの姿が見えた。

Aは、小さく首を傾げるとクラインとジェイルに声を掛け席を立つ。



『 どうしたんですか？ 』

「 A君に言伝(ことづて)を預かっているんだ。学園長室まで来てもらっても良いかな。」

『 まぁ、色々と一段落付いた所だったんで良いですけど…。 』

「 良かった。それじゃあ、行こうか。」



ふわりと微笑んだイリス。
普段は飄々(ひょうひょう)とした態度を崩さずおどけている所が目立つが、イリスもかなりの美形である。
そんな彼が目を細めて微笑めば、その破壊力は計り知れない。

普段の彼を知っているAは、見惚れるを通り越して呆れにも近い感情を抱いているが。



『 手早く済ませて下さいよ。』

「 A君、冷たい…。」


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