第36話【 これが日常に 】 ページ36
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「 ……ぃ。」
『 んー? 』
「 …ぃ、おい、起きろ! 」
『 ッ…何時?! 』
ジェイルの声が
寝過ごしたかと飛び起きるA。
Aの枕元で眠っていたチビも2人のやり取りに閉じていた
ふるふると頭を振ったチビは
『 7時…!ジェイル、起こしてくれてさんきゅ! 』
「 チッ…偶々だからな! 」
慌ただしく着替えを済ませ、顔を洗う。
当然ながら今日もクラインと朝食を一緒に食べる約束をしている。
チビを連れて行こうとした所で、まだ船を漕いでいる事に気が付く。
『 ジェイル、ちょっとチビの事頼んで良いか? 』
「 あぁ?んで俺が…。」
『 そう言わずに…頼んだ! 』
チビの身体を抱き上げたAは、ジェイルの返事を聞く前に彼の
クラインとの待ち合わせは昨日と同じ、食堂前。
エレベーターを待ちながら、先程のジェイルの姿を思い出す。
『 ジェイルのヤツ。チビに触りたくて仕方なかった癖に、素直じゃねぇよなぁ…。』
無理矢理押し付ける様にチビを渡して部屋を飛び出した時のあの表情。
迷惑だと言うか、嬉しいと言うか…様々な感情が入り混じっていた。
エレベーターに乗り込み、1階のボタンを押す。
ゆっくりと降下を始めるエレベーター。
静かな密室に機械音だけが響く。
エレベーターを降りてクラインの元へと走る。
『 悪い、クライン…ッ!遅れた! 』
「 だから、昨日も言ったけど転ぶぞ? 」
『 転ばねぇっての! 』
クラインはAの姿に気付くと笑顔で手を振る。
壁に身体を預けていたクラインは、息を整えるAの背中を摩る。
「 ん、今日はまだマシだな。」
『 ん? 』
「 いや、昨日は元気なかったからさ。 」
心配してたんだけど、大丈夫そうだな。
と続けるクライン。Aは本当に良い友人を持ったモノだと微笑む。
『 心配掛けてごめんな…もう、平気だ。』
「 なら良かった。何かあったら俺に相談して。」
『 おう。』
クラインの金がかった赤い瞳がAを見据える。
余りにも真っ直ぐに見詰められて、首を傾げた。
「 …そう言えば朝食まだだったな。」
ふ、と視線を下げたクラインは何時も通りに笑みを浮かべ顔を上げた。
Aは、彼の言葉に一つ頷いて食堂へと向かう。
「 俺を、頼って欲しいんだよ。」
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花冠(プロフ) - 2017年…四年前の作品で良い物を見つけてしまった…!もっと先に見つけれたら更新されて行く楽しみが味わえたかも…。すごい読みやすいですし、設定が神です!チビちゃんかわいい… (2021年3月18日 13時) (レス) id: 9f55fa5e42 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 雛菊さん» 有難うございます、とても嬉しいです…!これかも期待に応えられるように精進させて頂きますね!これからもご愛読、よろしくお願い致します! (2017年12月1日 18時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 通知リストにあるかな〜と探すぐらい好きな小説です!とても読みやすくて大好きです!! (2017年11月30日 18時) (レス) id: b475004931 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 風音迷夜さん» 沢山のお褒めの言葉…ありがとうございます!好きになって頂けてとても嬉しいです…チビは本当に人気がありますねw (2017年11月25日 16時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - ありきたりじゃない世界観に分かりやすい説明、この作品好きになりました!チビちゃんかわいいなもう!僕惚れちゃった←チビドラゴンにww (2017年11月22日 21時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2017年9月26日 0時