第23話【 初授業 】 ページ23
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あの後、ジェイルから部屋に置いてけぼりを喰らったAはクラインと待ち合わせをしていた事を思い出し部屋を飛び出した。
息を切らせて走るAに、周囲は何事かと視線を向ける。
『 クライン! 』
「 ん?…って、そんなに走ると転ぶぞー? 」
『 転ばねぇよ! 』
肩で息をしながら額に浮かんだ汗を手の甲で拭う。
夏ではないにしても全力疾走をすればじんわりと汗が滲む。
Aの乱れた息が整うまで背中を
「 大丈夫か? 」
『 ん、へーき。』
暑さが抜けないAは、胸元の服を指先で摘みぱたぱたと風を送る。
「 …A、その傷は? 」
『 ん?どこだ? 』
「 それ、鎖骨のとこ…。」
ふと、昨日のジェイルとの取っ組み合いを思い出す。そう言えばあの時、確かに血が滲んでいた記憶がある。
「 もしかして、ジェイルに何かされたのか? 」
『 いや?あれは俺も悪かったしな。』
「 本当か…?何かあったら相談しろよ? 」
『 わーかってるよ、ありがとな。』
目尻を下げて、心配だと伝えるクライン。
何故だろう、クラインと居るとまるで母と一緒に居るような…。
いや、これは本人には言わないでおこう。
クラインは絶対に怒らせるとヤバい人種だ。
俺の本能がそう言っている。
「 そう言えば、Aは初授業なんだよな。」
『 …だな。授業に付いていけるか心配だわ。』
「 ははっ、文字が読めない、書けない…だもんな? 」
『 うるっせぇ。』
普段は余り見せないクラインの少し悪い顔。
「 でもまぁ…授業は基本的に自由だし。一緒に読み書きの勉強でもするか? 」
『 …する。』
教室へと続く
「 お、来たな。」
「 クレイス先生、どうしたんですか? 」
「 喜べ、今日は特別授業だ。」
「 特別… 」
『 授業…?』
他のクラスメイトも状況が理解出来ていないらしく、A同様に首を傾げている。
「 ま、内容は授業が始まってからのお楽しみだ。」
『 クライン、何か知ってる? 』
「 いや、何も。」
外へ出ろ、と言うクレイス先生の言葉で一斉に移動を始める。
特別、だなんて…期待しない訳がない。
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花冠(プロフ) - 2017年…四年前の作品で良い物を見つけてしまった…!もっと先に見つけれたら更新されて行く楽しみが味わえたかも…。すごい読みやすいですし、設定が神です!チビちゃんかわいい… (2021年3月18日 13時) (レス) id: 9f55fa5e42 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 雛菊さん» 有難うございます、とても嬉しいです…!これかも期待に応えられるように精進させて頂きますね!これからもご愛読、よろしくお願い致します! (2017年12月1日 18時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 通知リストにあるかな〜と探すぐらい好きな小説です!とても読みやすくて大好きです!! (2017年11月30日 18時) (レス) id: b475004931 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 風音迷夜さん» 沢山のお褒めの言葉…ありがとうございます!好きになって頂けてとても嬉しいです…チビは本当に人気がありますねw (2017年11月25日 16時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - ありきたりじゃない世界観に分かりやすい説明、この作品好きになりました!チビちゃんかわいいなもう!僕惚れちゃった←チビドラゴンにww (2017年11月22日 21時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2017年9月26日 0時