同居生活39 ページ39
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え?もしかして私の推し愛が溢れた故の幻聴??
妄想と現実の区別さえ付かなくなるくらいに私の頭が弱ってるとか??
ぎゅう、と杏寿郎さんの腕に力が込められた事で宇宙まで飛ばされていた意識が現実に戻った。
『杏寿郎さん、そういう事は軽々しく言わないで下さい。私が倒れたら責任取れるんですか』
「よもや……」
『それに杏寿郎さんは、とても魅力的な男性だってわかってますから!』
「これは手強いな!!」
杏寿郎さんのふわふわとした黄金色の髪を撫でる。
琥珀色の瞳を見上げれば、視線がぶつかり絡む。
逸らした方が負けであるかのように見詰められ、若干の戸惑いを感じつつ正面からその視線を受け止める。
ゆらりと揺らめく琥珀色の中に緋が混じり。
まるで杏寿郎さんの炎を宿したかのような煌めきを魅せる瞳に吸い寄せられて。
「……お前ら口吸いでもする気かァ?」
「よもっ?!……近い!!」
『これは私の勝ちですね?!』
「勝負をしていた記憶はないのだが!!」
『え?視線を逸らした方が負けだったのでは……?』
違う!と声を上げた杏寿郎さん。
残念な物を見るような目で私を見る実弥さん。
無言で私の腕を引く義勇。
え、実弥さんのその視線は流石に傷付くのですが。
何時までも廊下で話し込む訳にも行かず、リビングへと場所は移動して。
ベランダで揺られた洗濯物を見て、実弥さんにお礼を言わなければと視線を向けた。
『実弥さん、お弁当美味しかったです!あと、洗濯もありがとうございました!』
「……A、そこに座れェ」
『え?なぜ怒って……?』
「正座ァ」
『はい』
訳も分からぬまま、実弥さんの前に正座させられた私。
え、どうして怒られそうになってるの??
杏寿郎さんと義勇も何事かと首を傾げているので、更に訳が分からない状況だ。
『実弥さん……?』
「いいか、俺達は男。お前は女だァ」
『え?あ、はい……存じております……?』
「なら、もう少し警戒心を持てェ」
『?』
一向に話の核心が見えず、こてりと首を傾げてしまう。
警戒心?どこから繋がっての警戒心だろうか。
実弥さん達に対して警戒心を持つなんて、可哀想な自意識過剰女になってしまうだけでは?
「自分の下着を俺に洗わせんなって言ってんだよォ!」
『したぎ』
「恋仲でもねェ男に触られたくねェだろうがァ!」
『……下着?!』
そう言えば、お風呂に入る時とか普通に籠にぶち込んだ記憶が?!
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時