同居生活36 ページ36
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「良かったら一緒に行ってもいいかな?」
『え、あ、どうぞ……』
「ありがとう!俺、実は結野さんと話してみたかったんだ」
『そうだったんだね……』
え?このまま見世物のように進むの?
いや白崎くんのその超合金のようなメンタルは尊敬に値した。けれど私は正直、白目剥きそう。
やっぱり今からでも帰ろうかな??
「急にこんな事聞くのは変かもしれないんだけど……」
『どうしたの?』
「結野さんって付き合ってる人とかいる?」
『付き合ってる人はいないけど……』
「……そうなんだ、いないんだね」
いや本当にな?今聞く事じゃないわ。
ほらー!周りの野次馬達が興味津々で聞いてるじゃーん!
何でもいいけど早く目的地に着いてくれ。
そして出来れば早くお昼になってくれ。実弥さんの手作り弁当が私を待ってるから。
『それじゃ、私ここだから』
「あ、そうだね。またね」
……こやつ、私に好意を持っているのか?
と恋の予感を察知した私が取るべき行動は一つ。
思わせ振りな態度は取らない、である。
だって私には心に決めた推し達がいるのだ。
浮気など許されるものではない!!
その後は、つまらない講義を右から左に聞き流し。
一応、ノートだけはしっかりと書き写して。
陽当たりの良い窓際の席だった為、時にはうとうとと睡魔に身を委ね。
気が付けば午前の講義が全て終わっていた。
そっと席を立ち、ゆっくりとお弁当を楽しむ為に中庭を目指す。
中庭と言っても、人が多い場所は限られていて。
私は人気の少ない奥地でのんびりするのが好きだった。
まるで、私しか知らない秘密基地のような。
私だけのお気に入りの場所。
『わ、さすが実弥さん……彩りまで完璧!』
大きめのハンカチを芝生の上に敷いて、ぱかりとお弁当のフタを開ける。
中にはバランス良く詰められたおかずとサツマイモの炊き込みご飯。
おかずには鮭大根もあって、家で待ってくれている三人の顔が浮かぶ。
『ふふ、ちょっと元気になったかも。早く帰りたいなぁ』
いただきます、と手を合わせて。
ぱくりと最初に鮭大根を食べ、完璧な味付けに頬が緩む。
うーん、実弥さんの味付け本当に私好みなんだよ!
これは本格的に実弥さんに料理を習った方が良い気がしてきたなあ。
『ご馳走様でした!』
ぱちんと手を合わせてからお弁当を包み直す。
スマホを確認すれば、戻る時間までまだ余裕があった。
『今頃、何してるのかなあ?』
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時