同居生活3 ページ3
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いつも通りの部屋着に袖を通して、クローゼットを漁る。
確かお父さんの服があったはず。
どうしてなのかは分からないけれど、お父さんとお母さんの服が数着だけ私の手元に残っていた。
サイズに関してはどうしようもないので、明日にでも買いに行かなければならない。
それはそれとして、上下の比較的ゆったりとしたスウェットと下着を持って脱衣場へ戻る。
『あの、着替えと拭くものをここに置いておくので。何かわからない事があれば声を掛けてください』
「む、何から何まですまない!」
煉獄さんからの返事を確認してから、私はリビングへと戻る。とりあえず、鬼滅の刃関係の物を隠した方がいいかもしれないと思ったからだ。
簡易本棚に並んだ漫画とDVD。
クローゼットに入れようと目を向ければ、薄らと消えかかっている本とDVD。
『え、あっ?!ま、まっ……!!』
私の宝物が!家宝が!!消えた!!!
まさか、と思いスマホから鬼滅の刃を検索。
ヒット数は、ゼロ。
やられた……!ご都合展開!!
これで煉獄さんは外を歩いてもただのイケメンとしか認識されないけれども!
項垂れる私を置き去りに、この世界から鬼滅の刃という作品が消えた。
無限列車……煉獄さん……三百億の男が……。
「……大丈夫か?」
『ひぇ?!』
「驚かせたか、すまない!」
『あ、いえ……こちらこそ。着替えは、大丈夫だったみたいですね』
「うむ!それで、少し話をしてもいいだろうか!」
『もちろんです』
むむむ……スウェット姿でも格好良い……。
じっと見詰めていれば、なんとも煉獄さんらしくなく視線を逸らされた。
え、視線逸らされた???
『ここどうぞ、座った方が話しやすいですよね』
「そうだな、失礼する!」
『えっと私は結野Aと申します……』
「俺は煉獄杏寿郎だ!結野さん、早速質問なのだがここは何処だろうか!」
少女呼びされるかと思ったけど、流石になかった。
まあ、私も二十歳なので少女は恥ずかしいな。
煉獄さんに苗字を呼んでもらえただけで幸せ過ぎた。
『場所というのであればここは私の家ですね』
「なるほど!しかし見た事がないものばかりだな!」
『そうなんですか?一般的なものばかりですが……』
さて。どこを見ているのかイマイチ分かりずらいと定評のある煉獄さんですけれども。
先程から、視線を逸らされまくっているのですがそれは。
これが新手の嫌がらせであるならば効果は抜群です。
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時