【 BL 】龍から寵愛を受ける体質のようで【 第3章 】

第９６話【 賞賛 】 ページ21

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それからは時間が過ぎるのが早かった。
Aが行った事と言えば、ゼノンを呼び出しての飛行訓練であったり。ゼノンを含めた他の龍(ドラゴン)達との触れ合いであったり。

とにかく、龍(ドラゴン)との距離を縮める事に重きを置いた内容のものだった。
ここ、秩序の騎士団に所属する多くの人材は龍騎士(ドラゴンナイト)や龍騎手(ドラゴンライダー)となり龍(ドラゴン)を使役(しえき)し、自分の意のままに操る。
つまり、龍(ドラゴン)と心を通わせ、意思疎通が滞(とどこお)りなく行える状態である事が秩序の騎士団に所属するに当たっての最低限の条件である。



「 Aー！そろそろ休憩だ、降りて来い！ 」

『 わかりました！ 』



遠くから紫色(しいろ)の龍(ドラゴン)に乗ったまま声を張り上げるグレンの姿が目に留まった。
秩序の騎士団団長であるロイスからも信頼を寄せられる彼は騎士団の中で攻撃隊長と呼ばれており、がっちりと筋肉を付けた如何にもな風体をしている。

初日の印象では怖さもあったが、今では頼れる兄貴分に近い。まあ、馴れ馴れしい気もするが。

Aの教育係に任命されたグレンはそれが余程嬉しかったのか、終始ご機嫌で指導にも熱が入っていた。



『 ゼノン、グレンさんの所まで頼む 』

「 グル…グルル 」

『 あぁ、今日は頑張ってくれたから後でいっぱい撫でてやるよ 』

「 クルルル… 」

『 ははっ…ゼノンは可愛いな 』



俺はここ最近のゼノンとの触れ合いのお陰か、それとも血筋なのか。ゼノン…いや、龍(ドラゴン)が考えている事や感じている事が何となくではあるが分かる様になっていた。

多くの龍(ドラゴン)と長い時間を一緒に過ごしていたからと言うのもあるだろう。お腹が空いた、疲れた、嬉しい、構って、など。ぼんやりとではあるが甘えてくる龍(ドラゴン)達は俺にその気持ちを伝えて来る。



「 随分と調子が良さそうじゃねェか！ 」

『 グレンさんの教え方が上手いんですよ 』

「 いや、これはお前の才能だな。これまで何度か入団試験を見て来てるが入団前の段階でここまで龍(ドラゴン)と意思疎通を行えてた奴は見た事ねェよ 」

『 ……ありがとう、ございます 』



真正面から賞賛の言葉を掛けられるのには何時まで経っても慣れないものだ。
遠慮なく受け取れば良いとは言うが、それが出来たら苦労はしないだろう。

グレンから賞賛の言葉を受けたAは、たどたどしく感謝の言葉を返すのだった。




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