【 BL 】龍から寵愛を受ける体質のようで【 第3章 】

第９０話【 一方的な認知 】 ページ13

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ベッドから立ち上がった褐色の男がゆったりとした動作で近付く。その動きだけでこの男が只者ではない事が手に取る様に伝わった。

溢れ出るオーラと言うか威圧感と言うべきか。

Aの目の前まで移動した彼を見上げる。何かを探る様にじっと瞳の奥を見詰める男。
その視線と沈黙に耐え切れず、絡み合った視線をそっと逸らす。すると、それさえも許さないと言う様に両頬を包む大きな手。



『 あの、』

「 やはりな 」



その言葉の意味が分からず、首を傾げる。そんなAの様子を知ってか知らずか、その男は1人納得した様に頷いた。

いや、何がやはりなのか教えろ。あと、お前の名前もな。



「 何か言いたそうな顔をしているな 」

『 …まぁ 』

「 許す、言ってみろ 」

『 名前を教えてもらっても？ 』

「 あぁ、余の名を知らないのか。オウラ＝ベルベットだ 」



いや、さっきから気になってるんだけど。
何でこいつこんなに態度デカイわけ？発する言葉も全部上から目線だし。

ベッドまで戻り、腰掛けたオウラは優雅に足を組む。長く編まれた三つ編みがさらりと揺れた。じ、と視線を向けるオウラは、長くしなやかな指先でAを招く。



「 余に近付く事を許そう。こちらへ来い 」

『 …失礼します 』



オウラが腰掛けるベッドの傍まで寄り、自分より目線の下がった彼を僅かに見下ろす。学園の制服とは違い露出が高めの衣服。大きく開いた胸元に視線の行き場を失って床へと目線を落とした。



「 そんなに緊張するな。お互いを深く知るには肌を重ねるのが一番の近道だ 」

『 は？ 』

「 余の事を知りたいのだろう？…雪野A 」



何を言っているんだこの男は。俺が知りたいのはどうして自分の事を知っているのかであってオウラ自身の事が知りたい訳では断じてない。
手首を引かれ、柔らかなベッドへ背中からダイブする。ギシリと音を立てたスプリング。

勢いの反動で身体が僅かに宙を舞う。そんなAの身体を押さえ込む様に跨ったオウラ。



『 おま、近い！ 』

「 当然だろう。さぁ、余の何を知りたい？今は気分が良い、何でも答えてやるぞ 」

『 退くつもりはねぇってか… 』



目を細め微笑むオウラがAの上に寝転ぶ。
いや、大の男が腹の上に乗るのは流石に重い。更に縮まった距離の近さに戸惑いつつ口を開く。



『 オウラは、何で俺の事を知ってんの…？ 』

「 ふっ…オウラ、か。その呼び方も良いものだな 」



お前…話聞けや。




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