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六曲目 ページ6

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そもそも私は…私達は




彼らに何を感じたのだろうか









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私と佑亮は






殆どの人生を共にしてきたと思う






誕生日、七夕、クリスマス…






たくさんのイベントを一緒に過ごした






共に児童擁護施設で過ごした







両親を事故で亡くした海との出会いは小学五年の時だった







私達よりはるかに頭のいい海と出会ってから






私達は佑亮の母親が生きているという情報を掴んで必死に探した





そしてたどり着いたのは中学三年の時だ





佑亮は母親に会えるのを楽しみにしていた





私達も嬉しそうな佑亮をみると心が温まった





けれど母は新たな家庭を築いていた





佑亮は捨てられていたのだ





その時私も思った





両親は出来の悪い私を捨てたのではないだろうかと





私達三人は何もかもが嫌になった





世界が理不尽だということを知った





将来に希望など見出せなかった





そんな時少しの光を当ててくれたのがあの歌だった





三人で涙を流したのをよく覚えている





もう少し頑張ってみようよって




大きくなって今度は俺らが誰かに光を与えれる存在になろうよって




そしたらこの人達にありがとうって言おうよって









『…あ。』







そうだ…






私あの時歌って凄いなって思ったんだ




私がその場にいなくても私の気持ちを伝えられる手段



何処かにいるかも知れないいないかも知れない私の両親や



あの日歌声を聴いて幼心ながら恋をしたあの人に




届けられる唯一の手段じゃないかと






今はなんだ?




マネージャーに急かされて適当に詩を連ねる






あの時の純粋な気持ちなど遠に忘れてしまった







ー「音楽が嫌いとでもいうつもりか?」






『…歌なんて…っ』





嫌い?






「何こいつ泣いてる?笑」




「きも」







嫌いになりきれないんだよ…




あの日光を当ててくれたのは




紛れも無い


音楽なんだよ








"〜♪"






『…っ?!


へ…』





この歌…






「あれ?bullettrain?」




「なんで?学内でライブなんて珍しくない?」




「ってか放送室?」






『ほ、放送室っ…!』





「ちょ!アンタ何処に?!」







気がつけば体が動いていた







ねぇ…やっと会えるの?






私達を絶望から救い出してくれた貴方達に







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作者名:ぽん | 作成日時:2018年1月1日 0時

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