番外編・弐 ページ9
俺が驚いたのはソイツの顔だ。目、鼻、口、顔の輪郭。ソイツの顔は、主の小姓である雪村千鶴ととてもよく似ていた、違う所と言えば性別だろう
はだけた浴衣の間からは、一目で鍛えられているとわかるほど逞しい胸板を覗かせている
左京「A、様」
先々が彼独特の口調で、ソイツの名を呼んだ。ソイツ――Aは書物から顔を上げ、笑みを浮かべた。笑んだその顔でさえも、千鶴さんに似ていた
A『左京・・・・』
目の前に座る先々の名を呼ぶと、Aは急に部屋を見回し始めた。訳の分からない行動に、俺も先々も揃って首を傾げた
やがて彷徨わせていた視線を、Aは俺の方へ向けた
A『左京。お前さ、幽霊でも連れてきたか?』
は、今この男は何と言った?幽霊とはもしかして、俺の事だろうか。もしや俺の事が見えているのだろうかと思ったが、どうも違うようだ
その証拠に、俺がAにバーカなどと言ってみたが、俺の居る方を見てるだけで無反応。結論、Aは見えているのではなく気配を感じている
見えるほどではないが、多少霊力があるのだろう
左京「ゆうれ、・・・・!。俺が、その手の、話が、苦手だ、って、知って、ますよね。もしか、して、からか、ってます?」
A『そんな訳ないだろ、俺がからかうのは右京だけだよ。見えはしないけど、感じるんだよねぇ、未知の力と存在って奴かな。なんだかワクワクしてくるよ』
クスクスと笑う、A。その笑みは純粋な興味に満ちていた。Aは横に書物を置くと、ごろんと寝ころぶと、「さっさと、今日の用事をすまそう」と言った
A『別に幽霊に聞かれようが、実体のない奴にどうこうすることなんて、できやしないんだから』
その言葉に、コイツは主達に危害を与えるつもりなのだろうかと。キッと、Aを睨みつけ、殺気をだした
すると、俺を見ることはできなくとも先々は殺気は感じたのか、ぶるりと身震いをした。両手で腕をさすりながら、Aが視線を向けている俺の方を見ながら
すすすと、器用にも正座をしたまま俺から離れていく。器用だな、おい。そして俺は霊じゃない、神だ
ニコニコと未知の者に対しての興味を瞳にやどして笑っているAと、対照的に体を小刻みに震わせて未知の者に対する恐怖を瞳に宿している先々
A『もしお前が新選組に縁のある者ならば、安心しろ。新選組の者達にどうこうしよう訳じゃない』
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新選組(プロフ) - 奈々さん» コメントありがとうございます。ちまちました亀更新ですが、頑張らせていただきます^^ (2016年11月9日 21時) (レス) id: 99972413c8 (このIDを非表示/違反報告)
奈々 - ファイト! (2016年11月9日 20時) (レス) id: e665f2dd13 (このIDを非表示/違反報告)
新選組(プロフ) - アズトさん» 頑張らせていただきます! (2015年10月4日 15時) (レス) id: edf288500b (このIDを非表示/違反報告)
アズト(プロフ) - とても面白いです!!更新頑張って下さい!! (2015年10月4日 15時) (携帯から) (レス) id: d14f271b06 (このIDを非表示/違反報告)
新選組(プロフ) - 未桜さん» 頑張ります! (2015年8月23日 12時) (レス) id: 188fe80e21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:新選組 | 作成日時:2015年6月9日 19時