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「はー!疲れたー!!」


ブルーシートが敷き終わると、茅乃は寝転んだ。

それを横目にリュックからお菓子が入った袋を取り出す。先程見つかってしまった呪符は袖に隠した。



『ほら茅乃。もっとそっちに詰めて』


「はーい」



大の字に寝ていた彼女を端へ押しやり、私も腰をかける。広い公園は緑が生い茂っていて風が心地よかった。


そこでふと、同じクラスの男子が楽しそうに鬼ごっこをして遊んでいるのが目に付いた。



『……体験メモに説明されてることまとめず遊んでたくせに、まだ遊ぶ元気残ってるのね』


「あはは。やっぱり男の子は底なしの体力だ」


呆れている私とは真逆に、茅乃は彼らを見て笑った



「ねね、Aちゃん。私ポッキー持ってきたんだけど食べる?」


『ポッキー?』


「ほら…あれ、潰れちゃってる」



彼女はがさごそとリュックを漁り、詰め込めすぎたのか箱がへこんでいるお菓子を取り出した。



『私も色々持ってきたよ。どれ食べたい?』


早めに処理するためにタイミングを見計らっていた私は、今だ。と知育菓子の箱を手に取る。


「えっ?なにこれ楽しそう!」


予想通り、彼女は「小学6年生が何持ってきてんだ」という反応ではなくて純粋に好奇心が優先された。



『面白そうでしょ』


「うん!」


手渡すと彼女はより一層笑みを深めて箱の裏に表記された作り方を見始めたかと思いきや、目を瞬かせて私を見た。



「……ね、Aちゃん。お水持ってる?」


『水?どうして?』


「お水が必要ですって書いてあるよ」


『えっ?』


彼女がほら、と見せてきた箱の裏にはしっかりとそう書かれている。




____これを作るには水が必要だったのか。



それは流石に予想外だった。
お茶はあるが水は持ってきていない。



私の表情から何となく察した茅乃は、



「ふふ、自販機で買ってくるね」


笑って財布を片手に駆けていく。




呆然と彼女の後ろ姿を眺めていた私は、間を置いてから『……行ってらっしゃい』と声を投げた。

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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます!そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます!本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怠慢のにぼし | 作成日時:2021年1月19日 20時

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