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「お前雰囲気変わったよな」


呑気に歩いてきた悟が車に乗り込み、走り出して10分くらいに彼がそう言った。



『そう?』


「表情のバリエーションが増えたし、前みたいに敬語で舐め腐った事言ったりしねえじゃん」


『舐め腐った事言った覚えはないんだけど…』



だが言われてみれば、この前母から「ちょっと女の子らしくなったんじゃない?」と見方を変えてみれば皮肉にも聞こえる言葉をかけられた。


その上以前までは常に表情筋が死んでいたせいで
「ぶっちゃけ顔が怖いです」と真剣に言っていた歳の近い侍女の人に、最近は「ちゃんと可愛いです」と涙ぐんで言われたこともあった。



「まあもう中学生だしな。着々と成長してんならいいんだけどさ」


『……誰目線?』


「親?」


『私、悟から産まれた覚えはないよ』


「何で母親の方なんだよ。俺だってお前を産んだ覚えはねえし」


『変なの』


「お前だよ」


「お二人とも、仲睦まじいのは大変喜ばしいですが
もうすぐ着きますので痴話喧嘩は一旦お止めになった方が宜しいかと」



萩原さんが笑みを零しつつ穏やかに言った。



「喧嘩じゃないでーす」


悟がわしゃわしゃと頭を撫でる。
おかげで朝に整えた髪がボッサボサになった。


『ちょ、何してん…っ!?馬鹿!!』


「いっ!?グーで殴ることねえだろ!!?」



私たちのやり取りを見て萩原さんがまた笑う。



転校して小学校を卒業した私は、小学校時代の友人と進路先が被るのを避けるために車で1時間程かかる地元から離れた私立の中学校に入学した。


放課後になると車で迎えに来てもらい、途中で悟を高専で拾って一緒に帰る。それで彼に私の家で呪術や体術を習ったりするのだ。


今やっているのは呪符を使わない掌印だけでの術式の展開。


実戦では呪符の起動を呪霊は待ってくれない。


誘拐された時もそうだった。
反応が遅れるのは符術師にとって命取りだ。


なので術式発動の簡略化を目指し、日々練習を重ねている。



ぎゃーぎゃー煩い悟の声を耳に手で蓋をすることで幾分か抑えて、現実逃避するように窓外を眺めた。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟
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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます!そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます!本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怠慢のにぼし | 作成日時:2021年1月19日 20時

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