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『…お爺様』
｢A。無事で良かったよ｣
唖然としている私の頭を撫でて微笑んだ。
『どうしてここに？』
｢どうしても何も、孫娘が誘拐されたと聞いて放っておける程情を捨てていないからね。ちなみにお母さんは少しご乱心だからお父さんが家で抑えてる｣
『そ、そうですか』
電話越しに聞こえた声と、出発する前に言われた言葉からも心配性の母親はそうなっているだろうと薄々感じていた。
｢誰？｣と家入さんが夏油さんに耳打ちする。
すると夏油さんはさらに小さな声で｢御三家に次ぐ実力を持つ篠崎家の当主だ。Aがその孫娘だってことは私も昨日知った｣
｢アンタ誰よ？この変なやつらのお偉いさん？｣
茅乃の母親が怪訝そうに見る。
｢お偉いさんという柄ではないが、まあこの場ではそこそこの指導力は持っていますね｣
｢あっそう。じゃあ言わせてもらいますけど、そこのサングラスのガキが舐め腐った口を聞く上に私に手を出そうとしたのよ。アンタ上司ならちゃんと指導しなさいよ｣
悟が舌打ちをする。
それを見て母親は睨んだ。
｢ほら！！｣
｢……ええ、こちらに非があるようなので、後で厳しく指導致します。申し訳ございません｣
祖父はそう言って頭を下げる。
｢…へえ、アンタはしっかりしてるじゃない｣
｢上に立つものとして、常に導かれる者の手本とならねばと心得ていますので｣
｢いいじゃない。なら____｣
そこまで言って、祖父がなんの脈絡も無く母親の顔に手のひらを向ける。
向けられた彼女は突然。
魂が抜けたように力なく膝から崩れ落ちた。
｢お母さん！？｣
ずっと家入さんの背中に隠れて耳を塞いでいた茅乃が、顔を覗かせて母親が私の祖父に支えられているのを見ると駆け出して近寄った。
｢問題ない。眠らせただけだよ｣
祖父は穏やかな口調で言い、母親を近くの高専関係者に預けた。
｢車で休ませてあげなさい｣
｢はい｣
頷いて彼女を抱えた高専関係者の人は速やかにその場を立ち去った。
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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます！そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (
レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます！本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怠慢のにぼし | 作成日時：2021年1月19日 20時
