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｢何で誘拐しただぁ？そりゃ簡単な話だ。五条悟の抹消のためだよ｣
『人質ってことですか…っ！！』
｢そうだな。あいつは強すぎる故にどんな刺客を送ろうが返り討ちにされるだろ。だから俺らは五条悟の"足枷"を人質に取ることを選んだんだよ｣
そう言って私を指差す。
『足枷って、…私が？』
｢五条悟が完璧になれねえ理由だ。お前という守るものがあるから、自分が攻撃されるより遥かに痛手になるだろうな｣
私が、彼の足枷。
言われたことを何回も反芻する。殴られたときよりも、頭の中で強い衝撃を受けた。
『嘘、そんな…』
｢ハハッ酷ぇ顔してんぞ｣
拳を固く握り締めて指の肉に爪を立てる。
握った拳が小刻みに震えていた。
____爆発。
一瞬の空間の静寂を切り裂いて爆発音と地鳴りが室内に響き渡った。
老朽化している天井の塗装がパラパラと落ちる。
｢来たみてえだな｣
[……こちら地上班。五条悟によって既に見張りの半数が無力化されました]
無造作に置かれた無線機から仲間のものと思われる通信が入り、リーダーは薄く笑った。
｢おいおい早すぎんだろ。大人しく待っとかねえと人質2人殺すと言っとけ｣
[……了解]
通信が途絶えたのを節目にリーダー以外の誘拐犯たちが速やかに移動を始めた。
｢ほら移動すんぞ｣
脇に抱えられて茅乃と一緒に部屋の外に出る。
また聞こえる爆発音と地鳴り。
悟が助けに来てくれて嬉しいはずなのに、来て欲しくなかったなんて思ってしまう。
茅乃がこんな目に遭ってしまったのは私のせいだ
無力な自分が情けない。
今度は爆発音の他に、建物が崩壊するような音が鼓膜を揺らした。
｢おーおー、止まんねえなぁおい｣
男が余裕そうに笑った。
笑い声が廊下に反響する。
『……ごめんな、さい』
一体誰に向けてなのか。
弱々しい声で私の口から発せられた謝罪は、転げるような笑い声と爆発音で掻き消された。
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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます！そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (
レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます！本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怠慢のにぼし | 作成日時：2021年1月19日 20時
