Ψ後の晩餐12

第505χ ページ5

｢コ、コンビニ強盗だー！！｣

｢あっテメェ勝手に動くんじゃねぇ！！｣


目の前のコンビニには、ヘルメットを被った男がレジにいる店員に包丁を突きつけていた


｢何あれ怖い……！｣


Aさんも恐怖と驚きでただただ動かず見ている


｢見てんじゃねーよオラァ！！このアマぶっ殺すぞ！！｣


外でザワついている人達に向かい、叫ぶ強盗

全く面倒なことをしてくれるな


｢……大変だ……｣


スッと立ち上がった灰呂に、僕とAさんも立ち上がった


｢斉木くんはAさんと一緒に交番でお巡りさんを呼んできてくれ……ここは……僕に任せて！！｣

｢えぇ？！大丈夫なの？！｣

｢大丈夫さ！怖がっていちゃ何も進まないからね｣


神妙な面持ちの灰呂に、嫌な予感しかしない

灰呂はそのまま強盗の方へ向かい、上着に手をかけた


｢私、交番行ってくる……！｣


Aさんは1人駆け足で交番へ向かった


｢君ィ！！止めないか！！｣

｢？！サツか？！｣

｢その女性を放して下さい……！人質なら……僕がなろう！！｣

｢なっ……何だテメーは？！｣


灰呂はバサッと上の服を全て脱ぎ捨て、強盗の目の前に仁王立ちした


｢見ての通り武器になりそうなものは持っていない……僕が代わるからその女性を解放してくれ｣


いやそのムキムキの上半身のやつに言われてもな……


｢人質は1人いれば十分だろ？！｣

｢いやそうだけどお前ゴリゴリの体育会系じゃねーか！！人質として扱いにくい！！｣


ほらな


｢だがその人はか弱い女性だ……怪我でもしたら……｣

｢か弱い女性だから人質にしてんだろーが！！｣

｢僕は抵抗しないから……さぁ！｣


そう言いながらジリジリと迫っていく灰呂に、強盗は焦ったのか包丁を振り上げる


｢近寄るんじゃねぇぇー！！｣

｢！！くっ……！！｣


灰呂は両腕を顔の前で交差し、構える


やれやれ……


｢？！｣
(なんだ？！体が動かねぇ……！)


僕が超能力でお前の体が動かないよう止めたからだ


善人の死は勿体無いからな
助けてやる、灰呂


(？動きが止まった…！今だ！！)
｢ウォォォォ！！どっせーい！！｣


チャンスを目の前にした灰呂はすかさず上に覆いかぶさり、腕が動かないよう固定

暴れ回る強盗を押さえつけた


｢灰呂くーん！！連れてきたよ……！！｣


ここでやっと息を切らしたAさんが戻ってきた

連れてきた警察は強盗を捕え、一件落着
灰呂もAさんも、ふぅ、と安堵のため息を漏らした

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