水の鏡面【クー・フーリン(オルタ)】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:17,773 hit

Prolog ⅲ ページ4

『おかあさんが壊れちゃう...』
「おかあさんって、誰？」
『早くきてよぉ』
そう言うと、女の子は消えた。
「...マシュ、マーリン。エミヤ、ヘラクレス呼んできて」
「はい！」
「いいとも」
マシュとマーリンにメインアタッカーの2人を呼ぶよう言ったものの、もう一人いたほうが戦力的には...。
「おい」
「うへっ！？あ、なんだ。タニキか」
「...嗚呼、こういう世界か」
タニキ、所謂クー・フーリン(オルタ)は尾を床に叩きつけた。舌打ちをした彼は、私を見た。
「オレも連れて行け」
「え、まぁ、いいけど」
彼は、その世界をじっと見ていた。

「先輩、ただいま戻りました！ってオルタさん？どうして」
「大方今日の編成に彼を入れるから、かな。どうだい？」
マーリンはふわっと笑った。うわ、信用出来ない笑顔だわ。
「君、私に対しての当たり強くないかい？」
「んじゃ、全員揃ったね」
ちょっとぉ！？と喚くマーリンは無視して、ドクターに目を向ける。
ドクターは呆れた顔をしていたけれど、視線に気づいて真剣な顔で説明しだした。
「今回のレイシフト先は、恐らく聖杯から創り出された世界だ。ボクらがソコを＂自力で＂観測できたのは、１回だけ」
「１回...ですか？」
「ああ。それ程、その世界が不安定なんだ。...恐らく、こちらからの供給や連絡は無理だ」
「頑張る」
ドクターは私の顔を見て、苦しそうに笑った。
「ダ・ヴィンチちゃんにも手伝わせるから、ごめんね」
「...」

───────この人はなんでこんなに悲しそうなんだろう。

「よぉし、早速レイシフトだぞぉ！準備してくれ」
「あっ、はい」
プシュン、とコフィンが開いて中に入る。
お馴染みのアナウンスが流れ、目を閉じる。
その時、聞こえた。

───────
─────────犇めく(ひしめく)声の中、進む前に、進む前に、進む前に。
どうか、『おかあさん』の手を引っ張って
─────────
───────

ふわっと空中に浮いたような感覚がした。それは一瞬で、すぐに身体中を圧迫されるような感覚になった。
「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！？」
「紐無しバンジーです！！」
「へっヘラクレスッ！着地任せた！！」
ヘラクレスは私やマシュを抱えて、そのまま着地しようとした。
「え」
その瞬間、優しい歌声が聞こえた。
その後、短い舌打ちが聞こえたきがした。