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4人で暖簾をくぐった居酒屋で、最初はマキちゃんと樹先輩と北斗先輩と一緒に座ってたけどいつの間にかマキちゃんは先輩にお呼ばれしてて、北斗先輩も他の人に呼ばれて居なくなってた。
気づいたら樹先輩と二人きりで、ちょっとだけ緊張する。
そしたら樹先輩は、いつも子犬みたいに飛びついてくるのに今日は静かじゃんって言うから余計恥ずかしくなった。
｢子犬じゃないですもん｣
｢アカチャンか｣
｢違いますー｣
むうっとしたらほっぺたをつつかれる。怒んなよって眉を下げて笑う樹先輩のそんな顔を好きだと思う。
樹先輩は優しいんだ。基本的に女の子には親切だし、私がどんなに好き好き言っても邪険な扱いをしない。
可愛い可愛いって頭を撫でられるからたまに勘違いしそうになるけど、樹先輩は可愛いしか言わないから私のこと本当にワンコだと思ってるに違いない。
でも、そんなとこが好き。
優しいとこも、たまに北斗先輩たちと下ネタで盛り上がってるとこも、全部まとめて樹先輩が好きなんだ。
樹先輩の顔を見つめながらそんなことを考えていたら、樹先輩は私の心を読んだかのようなことを言う。
｢そんなに俺のこと好き？｣
｢めっちゃ好きです｣
｢即答かよ｣
くつくつと喉で笑う樹先輩は、宇宙一カッコよくてほんの少しだけ危険な香りがした。
｢俺の彼女になりたい？｣
｢え、なれるんですか？｣
｢俺の言いつけ守れるならな？｣
え、なんですか言いつけって、て樹先輩に詰め寄れば、樹先輩の笑みが濃くなる。なんか企んでる。そんな顔。
深入りしちゃ駄目な気がするのに、1歩も引けない。
｢じゃあ1回しか言わねえから良く聞けよ？｣
｢わかりました｣
スマホのメモを開いたらにいい子いい子された。お前は本当に可愛いなって言いながら、樹先輩は目を細める。
じゃあ言うからなって言葉に頷いてキーボードを用意すれば、声を潜めた樹先輩が私の耳元に囁く。
｢まず、よく寝てよく食べること｣
｢はい｣
｢牛乳飲んでキャベツも食べろよ｣
｢はい｣
どういう意味かは分からないけど、とりあえず樹先輩の言うことをメモに残していった。
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2021年2月4日 17時
