ep.13 損するタイプ ページ37
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｢ミナー！｣
｢マキちゃん…！｣
駆け寄ってくる長身に抱き込まれると、私なんかすっぽりと収まってしまう。でも、この安定感は嫌いじゃない。
夏休みも終盤に差し掛かって、久しぶりの親友との会合。やっぱりマキちゃんは隣に居るだけで落ち着く。
｢元気だった？｣
｢めっちゃ元気よ｣
｢そっか〜まあ知ってたけど｣
｢え、なんで？｣
｢そりゃ樹先輩のストーリー見てたらわかるよ｣
ミナめっちゃ登場するじゃんって言われてちょっと照れた。そんな私にこのリア充め〜って、マキちゃんはほっぺたをプニプニしてくる。
でも結局は、幸せそうで良かったって言ってくれるから彼女は優しいのだ。色々聞かせてよってことでカフェに入ったらお喋り大会の始まり。
｢で、どうして付き合うようになったの｣
｢色々あって……？｣
｢その色々を聞いてじゃないのよ｣
さぁ吐きなさいって言ったマキちゃんに樹先輩と付き合うようになった経緯やらを話せば、ニヤニヤ顔を向けられるからめちゃくちゃ恥ずかしい。
｢樹先輩って付き合うとあま〜い感じなのねぇ｣
｢わー言わないで…｣
｢照れるな照れるな｣
はぁってため息をついたマキちゃんは、これじゃあミナの誕生日はどんなんになるんかねぇって言う。
そこで思い出した。私もうすぐ誕生日じゃん。
｢樹先輩と話さないの？｣
｢自分から言うもんじゃないじゃん……てか忘れてたし｣
｢幸せボケね｣
｢何とでも言ってくれ……｣
そっか、今年は彼氏と迎える初めての誕生日なのか。一緒に過ごしたいけど、自分から誕生日を打診するのはプレゼントを強請ってるみたいでなんか嫌だ。
どーしたらいいのって、頭をグルグルさせる私にマキちゃんはゲラゲラ笑う。ひっどーい！って言えば、樹先輩はあんたの誕生日知ってると思うよってマキちゃん。
｢なんでそんなこと言えるのよ｣
｢女の勘？｣
｢…当てにならないやつ｣
｢私のは当たるのよ〜？｣
いいから信じてみなさいって、ぱっちりウインクをかましたマキちゃんはアイスティーをちゅーってストローで吸い上げた。
その姿がなんかモデルみたいで見とれてしまう。前から綺麗だったけど、なんか拍車がかかってる気がするのは気のせい？
｢マキちゃんこそなんかあったでしょ｣
｢何よ急に｣
｢綺麗になったから…？｣
｢あーそれねぇ…｣
大我先輩とちょっと？って首を傾げたマキちゃんとええって絶叫の私。
楽しい女子会はまだまだ終わらない。
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2021年2月4日 17時
