ベイビー・ラブ (ページ34)

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ep.12 三角関係？ページ34

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付き合い初めてから、樹先輩は今までにも増して甘くなった。

｢バイト終わったら連絡しろよ？迎え行くから｣

｢え、樹先輩来てくれるの？｣

｢俺の他に誰が居んのよ｣

くしゃりと笑ってキスをする。その一連の流れすら甘い。

スウェット姿で完全オフな樹先輩に見送られて部屋を出たら、ほうっと幸せのため息が漏れる。

私は夏休みなのをいい事に、樹先輩の家に入り浸っている。

別にずっと樹先輩の家にいるわけではないけど、なんとなく夜は樹先輩の家で過ごすことが多かった。

そのまま泊まったり、次の日用事がある時は家まで送ってもらったり。お互いひとり暮らしだし時間はいっぱいあって、その日の終わりには連絡をする。そんな感じ。

丁度昨日は、今日のバイトが夕方からだったのもあって樹先輩の家にお泊まりしてた。

今日はお迎えまでしてくれるみたいだし、夜一緒に居れるのかな？ヤバい私今めっちゃニヤニヤしてるかも。

｢A｣

｢は、はい………っ｣

そんな風には幸せを噛み締めていれば、不意に名前が呼ばれた。

こーゆう時に現れるのは一人しか居ないのは分かってるから、顔を作り直してそろりと振り返ればそこに居たのはやっぱりあの人。

｢何ニヤニヤしてんの｣

｢わぁ…北斗先輩｣

｢顔引き攣ってるし｣

｢えへへ……？｣

別に先輩に会いたくないわけではないんだけど、ニヤニヤしてるとこ見られたら気まずいじゃん。

だから必死で言い訳をすれば、どーせ樹のことだろって先輩エスパーですか。

｢幸せの絶頂なので！｣

｢はいはい｣

いつものねって北斗先輩。でも、まあ良かったんじゃん？って。

北斗先輩には樹先輩とお付き合いを始めた事を1番最初に報告したけど、確かその時も相変わらずのクールな顔でそっかとしか言わなかった。

｢先輩は嬉しくないんですかー？｣

｢何で俺が｣

｢親友と可愛い後輩が付き合いだしたんですよ？｣

めっちゃ幸せじゃないですかって言えば、うっせぇよって先輩が言う。

｢何か怒ってます？｣

｢…いや？｣

｢ほんとに？｣

｢……執拗い｣

はあって深いため息をついて、私のことを通り過ぎようとする先輩。でも、何故か横に並んだ瞬間私を2度見して、私が髪を結んでいたゴムをしゅるんとほどく。

｢え、北斗先輩…何？｣

｢……自分で考えて｣

びっくりするほど低い声。何だかんだいつも優しい北斗先輩の初めての反応に、私はどうすればいいのか分からなくなってしまった。